--

--

コメント

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

04

30

コメント

アルジャジーラの視聴率@エジプト

先日、カタールにあるThe Northwestern Universityという大学が発表した調査によると、エジプトにおけるアルジャジーラの視聴率は20%とのこと。

単純に視聴率といって20%とくると、日本の感覚ではものすごい高視聴率のように感じますが、この数字は、「ニュース情報を得る際に最もよく依拠するメディアは何ですか?」という質問に対し、「アルジャジーラ」と答えた人の割合が、エジプトでは20%いたことを示しています。同じ質問に対して、バーレーンでは4%、チュニジアでは9%の人のみが「アルジャジーラ」と回答しており、アラブの春が起こった諸国ではアルジャジーラ人気が低迷していることがうかがい知れます。

アルジャジーラ・・・というかジャズィーラは、カタール、サウジアラビア、UAE、ヨルダン、レバノンでは今でも最も人気のあるチャンネルであるとのことですが、何か不思議な感じですねぇ。 ジャズィーラは今でも、シリア反体制派を何が何でもアサド政権に勝たせるぞ!という姿勢を鮮明にした報道(というよりは支援活動?)を継続していることに見られるように、いわゆるアラブの春では反体制派を無条件で応援してきたのですが、アラブの春が起こった国で人気が落ち、起こっていない国で相変わらず人気がある・・・という(笑)。ジャズィーラの報道が、本当はものすごく偏っているということが、だんだんアラブ諸国の人々にもバレてきたのかもしれません。

私が注目したのは、既出の質問に対するエジプト人の回答です。結果は以下の通り。

同率一位 エルハヤート(衛星チャンネル) 23%
同率一位 エジプト国営放送(地上派チャンネル) 23%
三位   CBC(衛星チャンネル) 21%
四位   アルジャジーラ(衛星チャンネル) 20%
五位   エンナハール(衛星チャンネル) 12%
同率六位 エルファダーイーヤ・エルマスリーヤ(衛星チャンネル) 10%
同率六位 ドリーム(衛星チャンネル) 10%
八位   エルミフワル(衛星チャンネル) 9%
九位   エンニール リルアフバール(衛星チャンネル) 8%
十位   エルアフバール(衛星チャンネル) 4%

この結果から理解できるのは、主に以下の三点です。

1)エジプトではやはり地元メディアが強い
2)エジプト人はニュース情報をもっぱらテレビから得ている
3)エジプトでは革命後も相変わらず国営テレビが強い

1)に関しては、四位のアルジャジーラ(・・・というかジャズィーラですけど)以外は、全てエジプトの地元メディアです。地元メディアでは当然、年がら年中エジプトのことをやっているわけで、エジプト人はやっぱりエジプトのことに興味関心が集中している・・・という、ある意味当然の結果を表しています。

2)に関しては、例えば同じ質問に対して、バーレーンでは一位にGoogle、五位にFacebook、十位にTwitterが来ており、チュニジアでは一位にFacebook、二位には地元のFM局がきています。それにひきかえ、エジプトでは回答十位までが全てテレビ局、というかなりのテレビ偏重傾向が見られます。しかし、チュニジアでは52%の人が、最も依拠するニュースソースとしてFacebookをあげているというのはどうにも信じがたい・・・というか、質問者が若者などにかなり偏っていることを想像させます(一応回答者は18歳以上とだけ記されています)。でも、そうだとするならば、エジプトの若者〜中年層もかなりFacebook大好きな割にはFacebookが上位にきていないなぁ・・・とよくわからない点もあります。

3)に関しては、2011年の革命の際、国営テレビはタハリールで反体制デモが激化しているにも関わらず、料理番組などをひたすら流して国民のひんしゅくをかったなんてよく言われているのですが、その割には今でも国営チャンネルに対する信頼度が高い点が注目に値します。ちなみに、九位のエンニールも、国営テレビの衛星版ニュースチャンネルです。以前、エジプト国営テレビの報道局長にインタビューしたことがあるのですが、その時に彼は、「革命を通して国営テレビの信用度は失墜したので、今は国民の信頼を得ることを第一の目標に掲げた公正な報道を行っている」と言っていました。その努力の結晶がこうした結果に反映されている・・・というよりはやっぱり、ニュースは国営放送だよね〜という惰性(?)のようなものが、脈々と続いているのだと思います。NHKが何かやらかしたとしても、ニュースはNHKだよね〜という日本人がやっぱり多いのと同じようなものでしょう。

エジプトでは国営テレビを始めとする国営メディアは、完全に政府、つまり同胞団の統括下にあります。独立系メディアはこれを「メディアのアフワナاخونة(同胞団化)」と言って激しく批判していますが、エジプト国民の多くはいまでも、この同胞団化された国営メディアから好んでニュース情報を得ているようです。エジプトではイマイチ、ちゃんとした野党や、ちゃんとした反体制派や、ちゃんとした反体制メディアが育っていないのですが、やはり国民の中にそうした反体制的素地がないことがその主たる要因なんだろうな、ということが、こうした調査結果からもうかがい知れます。

エジプトのニュースだけではなく、中東全体のニュースをフォローする立場としては、情報のスピードという点ではやっぱりジャズィーラが一番で、それゆえジャズィーラを見ていることが多いのですが、事件によってはアラビーヤがやたら早い時もあります。でもジャズィーラやアラビーヤは、とんでもない誤報やとばしもバンバン出すので、その点は要注意です。
スポンサーサイト

04

24

コメント

エジプトのジプシー

先日、木村聡さんというフォトジャーナリストの方が、「エジプトのスラムについて知りたい」と私のところにいらっしゃいました。私はかつて、エジプトのとあるスラムについて講演したことがあり、その関係で私がスラムの専門家(?)だと思ってらっしゃる方がちらほらいらっしゃるのですが・・・全然違います(汗)。

木村さんはスラムというよりは、スラムに住んでいるとされている「ジプシー(ロマ)」についてお知りになりたかったようですが、私は「エジプトのジプシー」と聞いて「はて?」と考え込んでしまったくらい全く知識がなく、その点で全く木村さんのお役に立てなかったのですが、ちょっと調べてみたところ、面白いことがいろいろわかりました。

まずは名称ですが、エジプトではジプシーのことをハナーグラهناجرة、ハンガラニーヤهنجرانيةとよぶそうで、その他にガガルغجرという呼び方もあるようです。またかつてエジプトのジプシーは歌舞音曲に関わる仕事に多く携わっていたようで、その名残から、ジプシー風のベリーダンス(ラクス・シャルキー)のことをガワーズィーغوازيと言ったりするそうです。ただし、現在のエジプトのジプシーは完全に「窃盗集団」のようで、いわゆるオリエンタルムードたっぷりの踊り子、みたいな存在は皆無のようです。

またジプシーはジプシーとしか結婚してはならないという掟があるようなのですが、写真を見る限り、「普通のエジプト人」にしか見えず、外見で判別するのは難しい・・・というか無理かと思います。

エジプトのジプシーは、例えばこんな感じ。

han2_l.jpg

これは暴行、殺人の罪で逮捕されたジプシーの一団です。

また、次の写真は、目を隠すことを条件に撮らせてもらったものだそうです。

lbnt-thrw-kbyr-nd-lhnjrny2.jpg

sr-mn-lhnjrny2.jpg

うーん、どこからどう見ても、普通のエジプト人です。

エジプトのジプシー(ハンガラニーヤ)というのは、普通のエジプト人にとっても謎の存在で、名称は聞いたことがあるけど、いったいどんな存在なのかよくわからない、という感じのようです。

そうした一般エジプト人の目線にたった興味深い記事を二つみつけたので、訳出しておきます。

【記事1】ハンガラニーヤالهنجرانية:窃盗は誇り、スリを拒絶した者は死刑

メディアにはしばしば、「ハンガラニーヤ」による犯罪についての記事が載るが、ハンガラニーヤの容疑者の殆どが女性であり、その犯罪が窃盗とスリであることをのぞいて、その詳細な情報は殆どない。そこで記者は、危険をおかして、ハンガラニーヤの実態に迫ることにした。

まずは彼らの捜索から開始。彼らはカイロ市内では、マタリーヤ、ザイトゥーナ、イマーム・シャーフィイー、バサーティーンといった地区にまとまって暮らしている。しかし、彼らは彼らだけの非常に閉鎖的な社会で暮らしている為、詳しいことはわからない。

記者があるとき、イマーム・シャーフィイー地区のカフェにいたところ、そこの主人がそのカフェに座っていた1人の人を指差し、「彼がハンガラニーヤだ」と言った。彼は当初、インタビューを拒否したが、謝礼金と引き換えにそれを引き受けてくれた。ハンガラニーヤの世界には、彼らの手引きなしには入ることができないので、記者はそれを受諾。彼曰く、「窃盗はハンガラニーヤにとっては大きな誇りであり、窃盗をしない女は我々の元ではパンを与えるに値しないとみなされる」とのこと。

彼の自宅で、彼の妻にもインタビューすることができた。彼女は、「私はハンガラニーヤであることを誇りに思います」と言った。ハンガラニーヤの女性達は、窃盗を悪であるとは全く思っておらず、彼女らにとって悪とは、「売春を行う女性」や「麻薬を売る女性」であるそうだ。またハンガラニーヤたちはムスリムであり、普通のムスリムと同様に、礼拝をしたり、ラマダーンの斎戒を行うらしい。

ハンガラニーヤの女性達は、子どもの頃から盗みの技術を学び、まず市場で果物を盗むことから始め、その後は混雑した場所で現金を盗むこと、その後は金(ゴールド)を盗むことへとステップアップしていく。彼女らの盗みの能力は、彼女らの結婚するときの婚資金を決定する主要要素になる。

ハンガラニーヤは何でも盗むが、特に公共交通機関の中で、女性の装着している金の腕輪やネックレスなどを、切断して盗むことで知られている。貴金属店で金を盗むこともある。

各地のハンガラニーヤの一族には長老がおり、記者はマタリーヤ地区のハンガラニーヤの長老をたずねた。70歳になる長老は、アラブ世界各地にハンガラニーヤが住んでおり、特にシリアとヨルダン、エジプトに多いこと、彼らは夏場、人の多く集まる海岸エリアで窃盗をしたり、ハッジの時期にサウジアラビアに行きそこで窃盗をしたりもすること、などを語ってくれた。

また長老によると、ハンガラニーヤは彼ら独特の隠語を持っており、例えば、「ラームーハー」といったらそれは政府の意味で、「ラームー」といったら警官、「シャブラ」といったら金、「ワードゥー」といったら現金、「マズナーラ」といったら時計をそれぞれ意味するそうだ。

またハンガラニーヤは盗みの能力によって名称が異なり、一番下のレベルのハンガラニーヤは「農民」と呼ばれ、混雑した場所でしか盗みを行うことができないが、ナッシャーラ(卓越したスリの意味)になるとどんな場所でも盗みを行うことができる。

潜入取材記事、結構面白いです。私も全く知らない世界なので、久々にほ〜っと感心させられた(?)記事でした(もう3年前の記事ですが・・・笑)。ハンガラニーヤもムスリムなんですねぇ。でも売春は悪で窃盗は善、というかなり独特の道徳観を持っているというのが興味深いです。

【記事2】虐殺事件でハンガラニーヤの世界が明らかに

ダールッサラーム地区(マアーディー近郊)で先日、ハンガラニーヤの二家族が窃盗の戦利品の分割を巡って殺し合いになり、8人が死亡するという事件が起こった。

しかしハンガラニーヤとはそもそも何者なのか?

ハンガラニーヤの長老のひとりである80歳の老人によると、ハンガラニーヤはダールッサラーム、マタリーヤ、バサーティーン、イズバトゥッハガーナ、イマーム・シャーフィイーといった地区に住んでいる。彼らは200年前にインドからエジプトにやってきた民族であり、かつてはひとつであったが、各地に散らばって住むようになり、それぞれが個別の一族の様相を呈するようになった。

長老によると、ハンガラニーヤの唯一の職業は窃盗であり、かつては女性だけが窃盗をし、男性はそれを支援するだけで他には何もしなかった。ところが革命後、治安の空洞化がおこったのに伴い、男性もまた窃盗を行うようになり、ハンガラニーヤは老若男女全てが窃盗を行うようになった。彼らの窃盗で有名なものとしては、マアーディーにあるカルフールの貴金属店から金製品を大規模に窃盗した事件、リングロードを通る車を止めて強制的に通行料を徴収するという事件、タハリール広場でデモに参加している人々からスリを行う事件などがあげられる。

ハンガラニーヤのある女性によると、盗みは彼女らのなかでは誇りとされ、盗みを拒否したり、または一族以外の者と結婚したりしようとすると、死刑にされる。

ハンガラニーヤでは女の子が誕生すると大きな喜びを持って迎えられる。なぜなら女の子は、一族の宝とみなされるからだ。女の子は10歳になると盗みの技術を教えられ、まずは市場で果物を盗み、次に現金、次に金を盗むことを学ぶ。


革命後は男のハンガラニーヤも窃盗するようになったこと、マアーディーのカルフールという私もしょっちゅう買い物に行く所が彼らの活動場所(?)のひとつであることなどがわかって、これまたへーっと感心させられる記事でした。

ハンガラニーヤは彼らの主張するところによるとインド起源だそうで、やはりロマと同じ系統のようなのですが、他のエジプト人との結婚を掟で禁じているわりにはなんでこんなに見た目がエジプト人なんでしょうねえ?歴史の過程で、そういった掟が守られなかった時期があったのかもしれません。

特有の閉ざされた社会で生きてはいても、カフェのくだりにあったように、近所の人は「あいつはハンガラニーヤだ」と知っているわけで、なんというか、一種のバルタゲーヤみたいな存在なのかもしれません。

いやぁ、いろいろ想像は膨らみます。個人的には久々にかなり面白いネタでした。

04

22

コメント

メディア監視センター設立by同胞団

ワタン紙الوطنによると、ムスリム同胞団の政党である自由公正党は、独立系メディアや反体制メディアの報道を監視するためのセンターを設立したそうです。

旗ふり役は同胞団副団長のハイラト・シャーティルخيرت الشاطر。このセンターの筋によると、シャーティルはさきの党内の報道委員会において、同胞団のメディア体制は与党として、また大統領を支える上で不十分であると述べ、同センターの設立を提案した、とのこと。

同筋によると、同センターの活動内容は、同胞団指導部メンバーのメディアへの露出を促進すること、社会に広まっている同胞団に関するでたらめのうわさを調査して、それを打ち消すこと、メディアと報道内容について週ごと、月ごとに状況をまとめること、メディアがウソの報道をしていないか監視すること、などだそうです。

ワタンは最近、ものすごく反同胞団色を強めていて、一時期のドストールのようなことになってしまっているようなところもあるので、このネタ自体、ウソかホントかよくわからないのですが・・・。しかし自由公正党内に、「世間に広まっている同胞団に関するウソの噂を監視する」ためのセクションがあることは、同党の報道官アフマド・ラーミーも認めています。

以前に書いたように、今でもエジプトには報道の自由というものはありません

今でも、というのは、革命の後も、という意味です。

革命前のムバラクの時代にも報道の自由はありませんでしたが、民主化したはずの現在も、そんなものはどこ吹く風・・・どころか、革命前に勝るとも劣らない勢いで報道規制をしています。同胞団の気に入らない記事を書く新聞は印刷を差し止める、同胞団の息のかかった人間を編集長に据える、メディアで同胞団の気に入らない発言をする人間は逮捕する等々・・・。

これまでも十分に報道の邪魔をしてきているのに、こんな監視センターなんぞ作って、これ以上何をするつもりなんだろう?と、私としてはそっちの方が気になります。

独立系の新聞や衛星チャンネルをもっと徹底的にマークして、更にfacebookやtwitterといったソーシャルメディアにおける同胞団批判などもチェックするとか、どさ回りをして巷のウワサを調べ上げるとか、そういう感じなんでしょうか?

このところ同胞団人気は歴然と落ちてきている、と独立系メディアは書き立てているのですが、そもそも同胞団人気を支えている素朴なエジプト人達の多くは新聞なんぞ読まない人たちであろうことを考えると、その真偽は・・・?です。しかし同胞団としては、「同胞団人気が落ちてきている」などと書かれること自体がしゃくにさわるのでしょうし、議会選挙を控えて、対同胞団ネガティブキャンペーンにこれまで以上に神経質になってきているのかもしれません。

しかしシャーティル。相変わらず恐いな・・・。やっぱり次のムルシドの座、狙ってるのかなぁ???

04

22

コメント

エジプトの子どもに対する犯罪数

昨日、エジプトで2012年7月から12月の半年間に発生した子どもに対する犯罪数جريمة ضد الاطفالが発表されました。

それによると、その総数は2600件で、内訳は、

子どもの殺人および子どもの自殺 1284件
子どもの誘拐 273件
子どもに対する性犯罪 141件

だそうで、全国でもカイロ県、カリユービーヤ県、ギザ県で発生件数が多いそうです。

また、交通事故で命を落とした子どもは641人、家族間の諍いで亡くなった子どもは448人、溺死した子どもは195人にのぼるそうです。

更に子どもの労働については、田舎では子どもが働いている率は100%にのぼり、両親や家族は子どもの労働を義務であるとしており、6歳から12歳までの子ども140万人が労働している、とされています。

学校における子どもに対する犯罪についても報告されており、一学期に2万件にのぼる校内暴力(子どもに対する)が発生し、政治傾向や宗教に関して子どもが誹謗中傷を受けることも多く、子どもの「学ぶ権利」を保全する対策がとられていない、とのこと。

子どもには就学の権利があり、初等教育は無料であるにもかかわらず、貧しい家の子どもが学校に通っていない点や、数千人にのぼるストリートチルドレンが、家族の支援も国の支援も受けずにいる状況についても指摘されていました。

以前に、エジプト人のよいところは子どもに優しいところだ、と書いたことがあるのですが、同報告の内容や、児童虐待の率がかなり高く、特に女の子に対しては、殆どのエジプト人が暴力をふるうのが親の当然の権利だと思っていることなどを勘案すると、本当のところは・・・???といぶかしく思ってしまいます。

エジプト人、基本的にはいい人たちだと思うのですが、残念なネタはいくらでも転がっているものの、エジプト人を大好きになるようなネタは滅多に(全然?)ないのもまた、事実なような気がする今日この頃です。

04

21

コメント

エジプトの人権問題

アメリカ国務省は一昨日(19日)、全国連加盟国についての人権状況についてまとめた2012年版人権報告書を発表しました。

エジプトについてのリポートはこちら

軽く読もうと思ったら、想像以上に結構なボリューム・・・(汗)。

概要はこんな感じ。

エジプトは2011年の革命から2年を経て、未だ変革期にある。政治的混乱が社会的混乱と渾然一体となって、法と秩序を乱し、そのしわ寄せは女性やマイノリティーといった社会的弱者に向けられている。2012年のエジプトの三大人権問題は

1)女性に対する暴力やセクハラといった人権侵害
2)宗教的マイノリティーに対する暴力
3)言論や報道の自由の危機

である。他にはデモを行う抗議者たちに対する不当逮捕と拷問、刑務所の劣悪な環境、個人のプライバシー侵害、シナイ半島の移民者に対する暴力や性犯罪、教会建設をめぐる不平等、女性に対するドメスティックバイオレンスや社会的差別、児童労働、障害者やHIV感染者に対する差別、労働者のストライキに対する軍の暴力的介入などが挙げられる。


三大人権問題と言ってはみたものの、全然それだけじゃないんですけどっ!!という報告担当者の心の叫びが聞こえてきそうな内容です。

例えば、エジプトには報道の自由は基本的にないのですが、

「国家が独立系を含む全ての報道機関のライセンスをコントロールし、不適切な内容が奉じられた場合には許可を取り消したり、新聞の印刷を禁じるなどしている」→そうそう、やってるやってる!!

国内政治については、

「エジプトは法で汚職を禁じているが、国はこの法を全く無視し、依然として汚職がはびこっている。国の予算がどのように使われているかを国民に公開する法はなく、国民がそれを知る手だてもない。」→そうそう、みんな「政府は泥棒だ!!」といつも言っているけど、同胞団時代になっても変わらないのよね〜。

女性に対するレイプについては、

「エジプトの法はレイプ犯に対して懲役15年から25年、もしくは終身刑と定めているが、政府はこの法を全く執行していない。エジプト政府は年間2万件のレイプがおこっているとしているが、NGOはこの数倍は多いとしている。」→そうそう、外国人女性がタクシーに乗ったまま連れ去られ、レイプされた、なんて事件もこのあいだ起こったりしているし、かなり恐いのよね・・・。

DVについては、

「2011年の調査では、81%のエジプト人男性が、自分は妻や娘に暴力を振るう権利を持っていると回答しており、またエジプトにはドメスティックバイオレンスを禁じる法律もない。」→はぁ・・・女性の受難は続くよ・・・。

セクハラについては、

「エジプトにおけるセクハラは、かなり深刻な上に、それを禁じる法律もない。」→そうなのよね・・・。

児童虐待については、

「2011年の調査では、女性の50%が子どもの頃に身体的な虐待を受けており、そのうちの93%が両親両方から虐待されていた、と回答している」→エジプト人、子ども大好き&子どもをすごく大切にしているはず・・・というか、そう思っていたのに、それってやっぱり表面的なものだったみたい・・・ショック。

・・・とまぁ、次々出てくるわ出てくるわ人権問題の数々。

アメリカに上から目線で、「お前達(エジプト)はこんなにダメだ!」と言われていると思うとなんかムカつきますが、それ以上に、報告内容が的を射すぎていて、反論する余地ゼロ・・・。

エジプトって本当に・・・(汗)。

04

18

コメント

同胞団時代の「性」

「性جنس」について語ることは、イスラム世界では基本的にはタブーです。

・・・というと誤解を招きそうですが、宗教的に正しい性のあり方について語ることはタブーではありませんが、それ以外の趣旨・文脈で性を語ることはタブーです。

今日は、その「性」について書かれたコラムを、タハリール紙التحريرから紹介します。

同コラムには、次のようなことが書いてあります。

革命後、サラフィー的女性観が幅をきかせるようになり、ニカーブをかぶる女性が急速に増加した。サラフィーは、女性を「男性を地獄へと導く悪魔」と見なし、「女性は、声も、顔も、その全てがアウラعورةである」(byアブー・イスハーク・アルフワイニーابو اسحاق الحويني)と考えるので、女性にニカーブをかぶせて彼女らを外に見せないようにする一方、一夫多妻制を奨励している。

一方、ムスリム同胞団はといえば、一見するとサラフィーとは異なる女性観を持っているように見せかけて、実際のところは全く変わらない女性観を持っている。同胞団の創設者であるハサン・アルバンナーは著書において、「女性に対しては、女性が必要とするものごとを教えるべきである」と記し、その女性が必要とするものごととは、「家事と育児」であると記している。つまりこれが、同胞団の考える「イスラム国家における女性の役割」なわけである。

バンナーはまた、「イスラムにおいては、女性と男性の混在は危険であり、混在は結婚によってのみ可能になると考える。従ってイスラム社会とは男女共生社会ではなく、男女分断社会である」とも記している。つまり同胞団は、男性には男性だけの、女性には女性だけの社会があり、両者の混在は例外的な場合(イードの礼拝など)をのぞいては許されない、という考えを基本的に有している。

同胞団内においては、子ども達に対し、「この世には女とよばれる謎の存在がある。声だけは聞こえるが、その存在を見ることは禁じられている」、と教える。この同胞団教育を受けてきた私は、14歳になるまで子どもがどうやって生まれるのか知らなかった。それ以前の私は、男性が女性に触れるだけで、女性はたちまち妊娠すると思っていたのだ。私は生物の授業を受けて初めて、私の考えは間違っているということがわかった。

同胞団において、恋愛は汚れであり、悪魔の業であると考えられている。しかしアラブ世界には古来より、恋愛を語る多くの詩があり、文学があった。恋愛に限らず、我々の人生にある様々な美しいものを全て「ハラーム」だと遠ざけることは、自らの魂を殺すことに等しい。人々はこれが過ちであることに、精神科の扉をたたくまでは気づかないのかもしれない。


このコラムの筆者は、『同胞団の天国جنة الاخوان』という本の著者であるサーミフ・ファーイズという人です。

261344_194904490633347_1957927784_n1111.jpg

最近この手の、「元同胞団員」が同胞団脱退後に記した曝露本(?)の類が多く出版されているのですが、多くの場合、たいしたことが曝露されておらず、読んでがっかりすることが殆どです。この本は読んでいませんが、このコラムを読む限り、ちょっと面白そうですね。

既出の「アウラ」というのは、「隠さなければならない恥部」の意味で、ようは「欠点」みたいなものです。イスラム思想においては「女性はいっぱい欠点があるから隠さなければならない」とか、「女性は存在自体が欠点だから家からなるべく出てはならない」といった見解は、古来からよく提示されています。

「お前は存在自体が欠点だ」と言われて嬉しい女性は1人もいない・・・と思いきや、現代には自ら好んでこの主張を受け入れ、ニカーブで全身を覆い隠す女性も増えています。これらの女性は概ね、ニカーブ着用こそがイスラム的に正しい女性の着衣であり、それ以外の着衣をした女性はイスラム的に間違っている、とかたく信じています。

「全ての女はオレを誘惑し姦通へと導く悪魔である」と信じ込んでいる男性というのは、率直に言ってかなり気持ち悪いですし、そこから自分の欲望(?)を制御すべしという方向に論が展開するのではなく、「だから女は全身を覆い隠さなければならない」という方向に当然のように話がすすむことには、全く合点がいかないのですが、これがこのあたりでは広く流布している考え方であることは否定すべくもありません。

また現代においては、こうした考えの人々は、「ニカーブ着用は、女性を守り、女性を尊重するためであり、それは義務ではなく、むしろ自由な女性にのみ許された特権なのである」とか何とか言って、巧妙に女性をニカーブ着用へと誘います。

このコラムの筆者は、同胞団は団員女性にニカーブ着用こそ強制していないものの、基本的考えはそれと一緒なんだよ、と言っているわけですが、まぁきっとそんな感じなんだろうなぁと私も思います。今の同胞団の中で、バンナー思想というのがどの程度尊重されているのかわからないのですが、同胞団内教育がかなりバンナー路線で行われているとするならば、今後のエジプトの行く先を占う上ではバンナーについて学び直すことも重要なのかもしれません。

いや、私は全然学ぶ気はないのですが・・・(苦笑)

04

18

コメント

エジプトのユダヤ人

カイロのユダヤ教組合議会は4月16日に、マグダ・ハールーンMagda Harounさんを新しい議長に選出したそうです。前議長のカルメン・ヴェインシュタインCarmen Weinsteinさんが今月13日に亡くなったのをうけて、とのこと。

私は普段はエジプトのアラビア語新聞しか読まないのですが、昨日Daily News Egyptという英語の日刊紙にこの記事を見つけて読んでみました。

それによると、カイロのユダヤ教徒コミュニティーは「死滅しつつある」そうで、かつては12万人ものメンバーがいた頃もあったものの、現在は成人メンバーがカイロに20人、アレクサンドリアに20人いるにすぎない、とのこと。

全エジプトで、成人のユダヤ教徒が40人くらいしかいない、というのは驚きです。

新しく議長に選出されたマグダさんは、「私の目的は、エジプト人ユダヤ教徒の文化的遺産を保全し、私たちがこの世を去っても、それが残るようにすることです。なぜならエジプト人ユダヤ教徒の文化的遺産は、全てのエジプト人たちのものなのですから」と述べたそうです。

昨日のアハラームには、前議長カルメンさんの葬儀についての告知が掲載されていました。

carmen-obit-clip-35.jpg

今日になって、今度はEgypt Independentという週刊紙に、この前議長カルメンさんについての記事が載っていました。

keemo-5.jpg

それによると、エジプトのユダヤコミュニティーは、Bassatine Newsというウェブサイトでニュースを発行しているとのこと。

Bassatine Newsによると、彼女は1931年10月10日、エジプト国籍を有する両親のもとに誕生。両親が非常に教育熱心で、完璧なアラビア語、英語、フランス語を話す女性に成長。大学はカイロ大学、その後カイロ・アメリカン大学で修士の学位を取得。父親が印刷工場を経営していたものの、早くに亡くなったため、彼女が跡を継いでそれを経営。

ユダヤコミュニティーにおいては特に、バサーティーンにあるユダヤ墓地の修復と保全に尽力。亡くなるまでの20年間に、ユダヤ議会の副議長と議長を歴任。カイロのダウンタウンにある通称アドリー・シナゴーグ(シャアル・ハシャマイム・シナゴーグSha'ar Hashamayim Synagogue)や、マアーディーにあるメイル・ビトン・シナゴーグにて、様々なユダヤの宗教行事を開催。

Egypt Independentによると、エジプト人たちがイスラエル人に対する嫌悪感を強め、「イスラエル人」と「エジプトのユダヤ人」とを混同して後者もまた嫌悪するような、そうした難しい時代を生きた人物だったのこと。ただし、彼女がまだ若かった1930年代や40年代には、エジプトのユダヤ教徒コミュニティーは繁栄しており、彼女自身も活発に経済活動を行っていたそうです。1950年代、60年代になると、エジプトのユダヤ人の多くはイスラエルに移住し、もともと5万人ほどいたコミュニティーのメンバーは数百人に減少したとのこと。

カルメンさんは、とても聡明でアクティブな女性だったようです。ユダヤ人(イスラエル人シオニスト)のことを「大敵」とか「悪魔」とか言ってはばからないエジプト人の中にあって、(イスラエル人シオニストではない)ユダヤ人として生き続けることは、想像するだに困難だったに違いありません。

私は修士論文まではズィンミーもしくはアフル・アルズィンマとよばれる、イスラム共同体の中にすむ異教徒について研究していたので、この手のネタにはどうしても心が惹かれます。かつて、モロッコのユダヤ教徒コミュニティーについて本に書いたことがあるのですが、エジプトのユダヤ教徒コミュニティーについては、普段暮らしている上では全く情報に触れることがなかったので、今まで気にかけたことがありませんでした。

今残っている40人ほどのエジプト・ユダヤ人は、殆どが年配女性だとのこと。遠くない将来、エジプトのユダヤ人が絶滅する日がやってくるのかもしれません。

今後このコミュニティーがどうなっていくのか、気になるところです。

04

15

コメント

エジプトの社交クラブ

エジプトにはたくさんの社交クラブ(ナーディーنادي)があります。

軍は非常に多くのナーディーを所有していますし、警察、外交官、医者、弁護士、検事、教師といった職業組合は必ず複数のナーディーを所有しています。その職業についている人、その家族、退職者などが、ナーディーに集って交遊を深めたり、イベントを行ったり、スポーツをしたり、結婚式を行ったり、いろいろなことをします。

職業に関係のないナーディーも多数あり、それらは会員から会費を集め、様々な施設を運営しています。

私たちは、自宅の目の前にあるゲジラ・クラブنادي الجزيرةの会員になっています。

その第一の理由は、ナーディーにでも入会しない限り、子どもの遊び場が全くないからです。

ゲジラ・クラブには、広大な子どもの遊戯場が存在しています。

DSC_0694.jpg

地面は全て砂場になっており、その上にたくさんの遊具がおかれています。それこそ、歩けないくらい小さい子から、小学生くらいまでが、このエリアで遊んでいます。

大人から見ても広いので、我が家の3歳児の目からみたら、ものすごく広いと思います。

ここには体育館があって・・・

DSC_0696.jpg

中では体操教室が開かれています。

DSC_0690.jpg

鉄棒、段違い平行棒、鞍馬、平均台、ゆかなど、いろいろな競技のジュニアの選手達が、毎日練習に励んでいます。

うちのちびっ子も、先日3歳になったのを機に入会したのですが、ちびっ子なりに頑張っています。

DSC_0672.jpg

ここは、エジプトにしては珍しく(?)、健全な空気で満ちあふれていて、私なんかも昔スポーツをしていたころのことを思い出して、なんだかわくわくします。

体操教室は3歳から入会可能で、一ヶ月に180ポンド(2500円くらい)。娘のクラスは、週に3回、1回1時間のレッスンです。

外ではバスケットボールの練習をしていたり・・・

DSC_0698.jpg

サッカー場があったり・・・

DSC_0697.jpg

他にも、テニス教室、空手教室などがあったり、馬場があって馬もいれば、ゴルフ場まで併設されています。もちろん、プールもありますし、ジムもあります。

いわゆるクラブチームなわけで、例えばゲジラ・クラブのサッカーチームは、エジプトの国内リーグに参戦しています。ゲジラ・クラブのお隣には、エジプトで一番人気のサッカーのクラブチームの本拠地、アハリー・クラブがあります。(ポートサイードでファンが74人死んだことでも有名です。)

あちこちにカフェコーナーもあり・・・

DSC_0699.jpg

食べ物のお店もいろいろあります。私はここでよく、ファティール(エジプトのピザのようなもの)を頼んで作ってもらっています。

DSC_0701.jpg

エジプトにはまずいファティール屋さんも結構ありますが、ここのおじさんは目の前で作ってくれるし、ぱりっと油っぽくなく焼いてくれるので、結構おいしいです。

ファストフードのお店もあります。

DSC_0702.jpg

ここのマックは、常に揚げたてできたてのものを出してくれるので、エジプトのどこのマックよりおいしい(?)です。

ゲジラ・クラブは、ゲジラ島の3分の1くらいの広さを占める広大な敷地を持っており、だから、この中に入ると、外界よりも多少は空気がよいのも特徴です。

カイロはどこもそうかもしれませんが、ザマレク地区は特に路駐がものすごすぎて、散歩なんて全くできませんし、公園も全くありません。ですから、小さい子どものいるうちは、ナーディーに入会して子どもを遊ばせるのが当たり前のようになっています。ゲジラ・クラブに行くと、娘の幼稚園の友達にもたくさん会います。

ゲジラ・クラブは老舗のクラブで、ここの会員であることはステイタスシンボルでもあるので、カイロの様々なところから、お金持ちたちが車に乗ってここまでやってきます。ここにいるエジプト人女性は、みんなブランドバックをもち、英語やフランス語とアラビア語を半々で使うような人たちであり、エジプトの子どもたちは殆どがお手伝いさんつきでやって来ています。

エジプトのお手伝いさん制度については、また機会を改めて書きたいと思います。

04

14

コメント

なぜ我々は民主主義を拒絶するのか?

今日のエルマスリ・エルヨウム紙المصري اليومに、「ピラミッドを破壊せよ!」と呼びかけて有名になったムルガーン師الشيخ مرجان سالم الجوهريのインタビュー記事が載っていました。

DSC05073.jpg

彼は、このところすっかりメディアの寵児(?)的存在になってしまい、無名だったころ取材してびびっていた自分がなにやら珍妙に思えてきてしまっている今日この頃です(笑)

以下インタビュー概要↓

Q 今の政治状況についてどう思いますか?
A 悲観している。ムルスィー大統領と同胞団のやっていることは荒唐無稽だし、世論の支持を得られていない。私は今支持するとするなら、一番は救国戦線で、次に自由主義者と世俗主義者であり、ムスリム同胞団はその下の位置づけだ(←面白い)。今やらねばならないことは、まずはコーランとスンナに矛盾する法律を排除すること、次に内務省改革を行い前政権の残党達を粛正すること、そしてメディアを改革すること、何よりもイスラムのシャリーアを適用することだ。

Q 今でも既にシャリーアは適用されている、と言う人がいますが?
A それは嘘つきだ。酒はまだ売られており、シャリーアではなく実定法が幅をきかせているのが現状だ。ムルスィーは大統領選挙のころからシャリーアの適用を公言してきたのに、未だに何も行っておらず、前政権と同様に、憲法と実定法の支配に甘んじている。ムルスィー大統領は、何をやってもからきしダメだ。シャリーアの問題を始め、シーア派の問題もまたしかり。シーア派はユダヤ人より悪く、危険であり、我々はアフガニスタンで彼らを殺してきた(←?!)。特に十二イマーム派は危険であり、彼らの宣教活動を禁じる必要がある。

Q なぜあなたは民主主義や政党を拒絶するのですか?
A 我々は神の法以外は全てを拒絶する。人間の作った法は一切受け入れられないし、その産物である民主主義もまた同様だ。民主主義はシャリーアを軽んじる無効な制度であり、それを奉じることは不信仰であるので、我々はそれを拒絶するまでのことだ。民主主義は主権を人間にあたえ、神の主権をないがしろにしている。またどんな法律をつくるかの自由を人間にあたえ、イスラムのシャリーアを無視している。どうしてこんなものが受け入れられようか?!我々は、シューラーを通して信者達の長(アミール・アルムウミニーン)を選出し、彼がシャリーアに従って統治するという体制を支持する。人々が正しい人物を信者達の長として選ばないならば、我々がシャリーアを適用する正しい人物を選出するまでのことだ。そして私が思うに、この座に最もふさわしい人物こそ、アイマン・アルザワーヒリー師だ(←出た!!)

Q あなた達の理解する所のシャリーアとは何であり、その適用とはいかなるものですか?
A アフガニスタンにおけるタリバンの試みが、シャリーア適用の成功例だ。それに我々には、正統カリフやウマイヤ朝の時代のよき先例があるではないか。ナスル・ファリード師やユースフ・アルカラダーウィー師も、アフガニスタンの試みはイスラムの試みであると述べている。またシャリーアの適用については、いったい誰がそれに反対するというのだ?シャリーア適用に反対するという事は、不信仰であるということであり、その者の首を切らなければならない。自由主義者であれ、世俗主義者であれ、同じことだ(←恐!)。我々にはシャリーア適用を行う能力があり、シャリーア適用宣言を行うことができる。そしてその反対者は、我々が直ちに殺す(←超恐!!!)

Q ムスリム同胞団についてどう考えますか?
A 彼らにはきちんとしたプログラムがない。イスラムと無光(ジャーヒリーヤ)を混ぜ合わせており、文民国家を志向している。これはれっきとした世俗主義であり、ジャーヒリーヤである。

Q イスラム政党についてはどう思いますか?
A 我々ジハード系サラフィー主義者を代表する政党や団体など存在しない。彼らはいわゆるジハード問題に感心のある者たちかもしれないが、民主主義的手段をとった時点で彼らは既に不信仰者である。我々はエジプトにいるが、あらゆる国が我々の所在地であり、我々は刑務所にいた30年前から結束してきた。

04

10

コメント

エジプトの公務員の実態

エジプトは、ものすごく公務員の多い国です。

全就業者数の30%ほどが政府部門就業者(公務員)であるとされており、エジプト財政難の一因がこの大量の公務員雇用にあるのは明らかです。

エジプトの公務員雇用の特徴は、大量雇用と激安賃金にあります。

公務員はとにかく、あちらこちらにものすごい数がいるのですが、彼らの給与は月給で600ポンド(1万円程度)だったり、900ポンド(1万3千円程度)だったり、おしなべて激安です。少ない仕事を、ものすごい多くの人々でわけあって(?)やっているので、給与もその分少ない、というしくみ。社会主義時代の名残でもあります。

エジプトの本当の失業率は、公式発表よりもだいぶ多いという話を以前に書きましたが、エジプトの雇用のもうひとつの問題は、雇用されているのに生活が成り立たないほど安い給料しかもらっていない人が非常に多い、という点にあります。このことは、「隠れ失業」といったりします。

夫婦共稼ぎなどの場合には、こうした激安公務員給与でもやっていける場合もありますが、多くの場合、公務員は副業をもっていたりします。というか、公務員に限らず、多くの人はいくつも仕事をかけもちして、副業で本業を上回る収入を得ていたりします。

さてさて。こういう公務員事情について認識している一方、ああ、やっぱこりゃだめだ・・・と心底実感する機会もまたしばしばあります。

今回は、中央郵便局でこの朽ち果てた公務員制度の実態を体験してきました。

まず先日。こんなものが郵便局から送られてきました。

DSC_0652.jpg

これは、日本から送られて来た小包の中に、薬が入っていたので、受け取りたければ、英語で書かれた処方箋を持参して中央郵便局まで来るべし、という内容。

薬・・・?と思い、小包の送り主に確かめたところ、日本で新発売されたアレルギー薬を送った、とのこと。

英語の処方箋ったって、日本語しかかかれていない日本の市販薬じゃあ意味ないじゃん・・・?と思い、とりあえずその薬、処分してよいから他のものだけ受け取りたいんだけど?と聞いてみた所、絶対に受け取り主本人が行かなければならないとのこと。

それで行ってきました、中央郵便局。

DSC_0655.jpg

ラムセス広場、カイロ駅の隣にあります。

入口で要件を告げると、4階に行け、とのこと。

4階には、いくつか部屋があり、雰囲気はモガンマア(入国管理局)にそっくり。ところが、入るように指示された部屋は、どーんと巨大体育館のような大きさで、そこに机が雑然と並べられ、100人以上の職員がたむろしています。

DSC_0662.jpg

ここのしくみがとにかく旧式(?)というか、奇怪というか、全く意味不明なもので、私がしたかったことは

「小包のなかから薬だけ処分してもらい、その他を受け取る」

だけだったのですが、このためにこの体育館様の部屋に2時間半とどめおかれました。

なんというか・・・説明しにくいのですが、ここの職員10人ほどの間をあちらこちらたらい回しされるのです。
仮にこの人々をabcdefghijとするならば、

a→b→a→b→c→a→d→c→e→a→f→e→g→h→d→i→b→j→f→c→d→a→e→i→j→e→d→f→d→j

こんな風に、際限なくあっちこっちに行かされ、そのたびにその人にひとつサインもらったり、お金を払ったり、こちらが何か書類に書き込んだりするわけです。

例えば、こんな人とか・・・

DSC_0661.jpg

こんな人とか・・・

DSC_0664.jpg

こういう人々の間を、次はマダム何とかのところに行け、今度はマダム何とかのところへ行け、と2時間たらい回しにされました。

お気づきかと思いますが、この事務所(?)にはパソコンとか全然ありません。

作業は全て手書き、紙やら荷物やらが、雑然と散乱しています。そして、いったいどういう理由かわからないのですが、同じ人々の間を行ったり来たりさせられます。

・・・?!

これは明らかに、作業行程を無駄に増やし、煩雑にすることによって、大量に雇用してしまっている郵便局員ひとりひとりに何らかの役割らしきものを割り当てようとしているとしか思えません。

こういう手続きをシステム化するとか、IT化するとか、そんな発想すらないのでしょうし、発想があってもお金がなくてできないのでしょうし、そんなことしたら雇用が失われる!と人々から大ひんしゅくをかうのでしょうし・・・。

それにしてもみんな、仕事じゃなくて、おしゃべりしてるだけだし!

DSC_0671.jpg

8割は何にもしていない人と見た。

あっちこっちでターメイヤとかむしゃむしゃ食べてるし・・・。

ニカーブをかぶった人も、働いていました・・・。

DSC_0669_20130410221003.jpg

というか、この人、全然働いていませんでしたが、ここに座っておばちゃん同士でおしゃべりをしているということは、郵便局で雇用されている立派な(?)公務員なんだと思います。

いやぁ、ニカーブをかぶっている人がこういう場所で働いているのを見るのって、存外珍しいのです。地方に行くと、学校の先生なんかにもムンタカバ(ニカーブをかぶった女性)がいますし、外でモノを売ったりしている人にはムンタカバも結構いるのですが。

この職場は女性が非常に多く、割合としては8割程度が女性でした。うち、ムスリマ率は95%。ムスリマは全員、ニカーブかヒジャーブかヒマールを着用しており、キリスト教徒女性は1人しかいませんでした。何もかぶらず、十字架のペンダントをしていたので、見た目に明らか。

ひとつだけ感心したのは、中央郵便局内の一室にベビーベッドがたくさんおかれ、子どもがうろうろしているところがあり、どうやら託児所(保育所)があるらしいとわかったこと。女性が多い職場ならでは、なのでしょう。

2時間半かかって、ようやく荷物を手にした後、一緒に行った運転手もさすがに、「いやぁ、なんてへんてこなしくみなんだ?!こりゃ、30年前とちっともかわってない!」と驚いていましたが、まさに旧態依然とした様子。

エジプト、100年経っても何も発展してなさそうだな・・・という確信が強まってしまった一日でした。

04

09

コメント

エジプト・イラン間の旅客便停止

先日、約30年ぶりにイランからの観光客がエジプトにやってきた、という話を書きましたが、イランとエジプトの間に飛ばすことになっていた旅客定期便の運行は、6月半ばまで停止されることになりました。

やっぱり・・・。

イランからの旅行客については、サラフィーたちがものすごい勢いで反対していると以前に書きましたが、彼らが先の金曜日に、イラン大使(もどき)の公邸を取り囲み、靴(←侮辱の意味)を掲げて、「シーア派は出て行け!」とか、「エジプトのシーア派化を許すな!」などと叫びながらデモを行ったそうです。

このデモを企画した団体のひとつであるアッシャアブ党حزب الشعبのスポークスマンは、「我々はシーア派を拒否しているわけではない。イランという国が、政治的意図をもって、観光客をエジプトに送り込んでいるのが問題なのだ」的な発言をしています。

曰く、イランはイエメンやサウジアラビアといったエジプト近隣諸国に触手を伸ばし、シーア派化を進めている。エジプトはそれらの二の舞にならないよう、十分警戒しなければならない。エジプト社会の平和を維持する為には、イランのエジプト社会への浸食を食い止める必要がある、とのこと。

アッシャアブ党というのは、サラフィー戦線الجبهة السلفيةというサラフィー団体の政党です。サラフィー戦線は、ダアワ・サラフィーヤのように老舗の団体ではありませんし、全国規模の支持も得ていないと思われますが、大カイロにおいては一定の影響力と支持基盤を持っている団体です。

このデモが起こった二日後、観光大臣はイランとの定期便の一時停止を通達。

デモすると、政策かえられちゃうんだ・・・。

大臣はデモの影響云々には触れていませんが、そういうこと・・・ですよね。

先日、イランからやってきた観光客たちは、全然イラン人ぽい服装をしておらず、フェイスブック上では、「こういうイラン人観光客なら、エジプトにどんどん来てほしいよね〜」なんて冗談まじりで彼らの写真が取り上げられていましたが、サラフィー達は、「イランはエジプトをイラン=シーア派化しようとしている」という陰謀論に取り憑かれているので、まあ、こんな冗談も全然通じないでしょう。

こういう人たちはやっぱり、イランとユダヤ人シオニスト(イスラエル)は、陰では手を結んでおり、エジプトを貶めのっとろうとしている!とか信じてるんだろうなぁ・・・。

イランからであろうとどこからであろうと、観光客に来てもらった方が、エジプトのためだと思うんだけどなぁ・・・。

04

09

コメント

エジプトで罰金徴収プロジェクト実施中

エジプト警察当局は、2ヶ月前から急に交通規則違反を厳しく取り締まるようになりました。

これまで私は、エジプトに交通規則なるものが存在するという認識を持っていませんでしたし、路駐が違法とされていることも知りませんでした。

エジプトの道にはまず、車線がないし、信号もないし、横断歩道もありません。車の流れで車線は適当に形成され、おまわりさんが手旗信号でなんとなく車をさばき、道を横断したいときは行き交う車の列をぬって自力でわたるしかありません。

駐車場が極端に少ないため、道という道には車がずらーっと縦列駐車されており、私の住んでいるザマレクなどでは、狭い道の両側に縦列駐車されているせいで、車が道を通ることができないことすらあります。人が歩く場所も、当然ありません。

そこへきて突然、警察が路駐やスピード違反、シートベルト未着用などを、交通規則違反として取り締まるようになったのです。

うちの近くでも、おまわりさんが路駐を取り締まっていました。

DSC_0639.jpg

おまわりさんとコンビを組んでいるおじさんが、車のタイヤにぎっちりとチェーンをまいていきます。

DSC_0646.jpg

こんな風にされてしまった車の所有者は、40ポンド(600円弱)を支払わなくてはなりません。

安いっちゃ安いんですが、駐車場が整備されないまま路駐をどんどん取り締まっても・・・ねぇ?

急にこんなことを始めた理由は、間違いなく罰金の徴収のためだと思われます。エジプトは再三述べているように、ものすごい財政難にあるので、どうにかして国民から金を徴収しなければならないと考えた上での苦肉の策のひとつがこれ・・・なのでしょう。

しかしこれで、なかなか侮れない成果があがっており、例えば今日のニュースによると、アスユート(アシュート)県では、この2ヶ月間に、交通違反1万2310件を取り締まり、2502万5000ポンド(約3億5千万円)を徴収した、とのこと。

エジプトには27の県があるので、単純計算すると、全国でこの2ヶ月間に100億円近くの罰金の徴収に成功した(?)ことになります。

考えたな、エジプト政府・・・(笑)。このプロジェクト(?)実施にあたり、どこかからこの車のタイヤに巻き付けるチェーンみたいなものを大量に購入して、「これからばんばん路駐を取り締まるぞ!!」とかおまわりさん達にはっぱをかけたりしたんでしょうねぇ。

なんかその光景を想像すると、ちょっと・・・笑ってしまいます。

車のみならず、バイクやトゥクトゥクも取り締まりの対象となっており、無免許だったり、走行禁止区域で走行していたり、逆走していたりするトゥクトゥクを多くつかまえたそうです。

上述のように、駐車場がないままで路駐をばんばん切っても、人々の反感をかうだけだと思うのですが、路駐のせいで人間が全然歩けなかったり、車が通れなかったりするのはものすごく迷惑ですし、歩道をバイクが我が物顔で走行しているのはさすがにどうかと思いますし、逆走してくる車なんてむっちゃ恐ろしいですし、そんなこんなで事故がやたらに多い為に渋滞が更に悪化しているし・・・というわけで、基本的にはルール違反の車はどんどん取り締まってほしい!と思います。

でも、ただでさえ人々に嫌われている警察ですし、ムルスィー政権にたてついてしばしば仕事をボイコットしているくらいですから、どのくらいこの「交通違反取締強化月間」が継続するのかは、よくわかりませんが・・・。

エジプト政府は、2週間以内にIMFとの交渉を成立させるとしていますが、一方、自力で自国民からどれだけお金を徴収できるのか、ちょっと楽しみ(?)です。

もともとIMFからは48億ドル借金する予定になっていて、エジプト政府は増額を要請しているようですが、今のレートですと48億ドルというのはだいたい4800億円で、交通規則違反の罰金だけで2ヶ月間に100億円徴収できたとすると、なかなかどうして、かなりの成果だと言えるのではないでしょうか。

うちの車も一度路駐をきられていますし、知り合いには常時路駐している、という人もいますので、カイロ県でどのくらいの成果をあげているのか、発表されるのが心待ちにされます。

04

08

コメント

アインソフナ:Stella di Mare編

4月になったので、海開き。

カイロ在住者にとっての身近なリゾート、アイン・ソフナالعين السخنةに行ってきました。

以前書いたように、ソフナにはたくさんのリゾートホテルがありますが、私はステラが一番よいと思っています。ステラStella di Mareはホテルグループで、ソフナにはふたつホテルをもっているのですが、Grand Hotel Ain Soukhnaというホテルがおすすめです。

ザマレクの自宅からホテルまで、車で1時間半。

海開き気分の人が多かったのか、ものすごく混み合っていました。

客は殆どがエジプト人ですが、湾岸人やパキスタン人がいたり、私たちのような日本人、ドイツ人、アメリカ人なんかもちらほらいます。

DSC_0201.jpg

このロビーのすぐ外にプールがあり、プールの先にビーチがあります。

プールはこちら。

DSC_0377.jpg

手前が子ども用プール。水深30cmしかないので、うちの先日3歳になった娘も安心して遊ばせられます。

奥が大人用プール。深い所から浅い所までいろいろあり、滝もあります。結構広いので、のびのびと泳ぐことができます。

このプールは一応、ブルキニ禁止ということになっているのですが・・・

DSC05071.jpg

ブルキニの方もふつうにいらっしゃいます。

DSC_0282.jpg

エジプトのリゾートホテルの中には、絶対にブルキニはダメ!としているところもあるそうですが、私は個人的には別にどんな格好していてもよいんじゃない?と思っています。ブルキニは衛生的によろしくない、とかいって嫌悪する人も欧米にはいるそうですが、イスラム国なのに(だから?)ブルキニはダメなんて、ねぇ?

水着で体を覆っている面積が広いか狭いかなんて、どうでもよいじゃん?

ヨーロッパでは、日焼けや皮膚がんを危惧してムスリマではないのにブルキニを買う人もいると聞いたことがあります。

話はそれましたが、ブルキニですら絶対にありえない!という、こういうタイプの女性もエジプトのリゾートにはいます。

DSC_0287.jpg

ニカーブをかぶったままです。(ニカーブについての詳細はこちら

子ども連れですが、もちろん彼女自身はプールの中には入りません。子どもが溺れたりしたら、どうするつもりなんだろう・・・?と、つい余計な心配をしてしまいます。

このプールのすぐ向こうに、ビーチがあります。

DSC_0245.jpg

遠浅の海がずーーーーーーーっと続いていて、子どもが遊ぶにはぴったりのロケーション。

カニとかヤドカリをいっぱい捕まえることが出来ます。

DSC_0408.jpg

私もエジプト子どもに混じって、カニ穫りに興じます(笑)。

このホテルの宿泊費には、朝食と夕食のビュッフェがついています。

ビュッフェはこんな感じ。

DSC_0314.jpg

食事の内容は・・・かなり残念なレベルです。でも、エジプト人はみんな口を揃えて、「ステラの食事は最高だ!」と言います・・・。(つまり、私たちの方がおかしいんだと思います・・・。)

DSC_0315.jpg

夜になると、いろんなイベント(?)が目白押し。

子ども達は、Mini Discoで踊りまくり。

DSC_0341.jpg

かなり楽しいようで、うちの娘もここにくるたびにこのミニディスコをむちゃくちゃ楽しみにしています。

DSC_0324.jpg

大人はビリヤードをしたり・・・

DSC_0347.jpg

酒を飲んだり・・・

DSC_0355.jpg

バーには歌手がやって来て、夜通し歌っています。エジプト人歌手の日はちょっと・・・ですが、外人歌手の日は結構楽しめます。この日のおじさんの方の歌手は、かなり上手でした。娘も気に入って、かぶり付きで鑑賞(?)します。

DSC_0356.jpg

こんな感じで、ソフナの夜は更けていきます・・・。

ちなみにこのホテルにはスパが併設されていて、そこのマッサージはなかなかよいです。エジプト人にマッサージとかできないでしょ?!(失礼)と思っていたのですが、ここでマッサージをしてくれるのはタイ人女性たちで、みんな腕は確かです。

カイロの喧噪と汚れた空気から逃亡したくなったら、是非ソフナへ〜。

04

04

コメント

パンが値上がりする日

IMFのエジプトに対する融資実行の条件が、徐々に明らかになってきました。

エジプトの独立紙ワタンالوطنによると、その条件とは

1)物価を上昇させること
   特にタンク入りガスなど原油関連製品の値上げ
2)補助金の打ち切り
   特に生活必需品、電気、パンに対する補助金政策の打ち切り

の二つだそうです。

しかしパンに関してだけは、国民の怒りが爆発することを回避するために、補助金政策の打ち切りを次の議会選挙後まで先送りする、とのこと。

このようにサラっと書くと、たいしたことのない条件のように見えてしまうかもしれませんが、これはエジプトにとってはものすごく厳しい条件です。

以前も書いたように、エジプトは小麦粉や砂糖、油、米といった生活必需品の他、電気、パン、ガソリン、軽油など、様々なものに対して政府が補助金を支払うことにより、それらを安価で国民に提供する、という政策を長らくとってきました。

特にパンは、一枚5ピアストル(1円未満)という激安価格。1ポンド(14円程度)あればパンが20枚は買えるわけで、貧しい人々にとってはこのパンが生命線のようなものです。この激安パンはいつでもどこでも買えるわけではなく、これを一定量買うためには、毎日激安パン屋の前の長い列に並ばなくてはなりません。

こうしたことを勘案した上で、パンだけは値上げを先送りするということのようですが、この件と関係して、今日はこんな記事も掲載されていました。

DSC05045.jpg

ムスリム同胞団が1枚5ピアストルでパンを売るよ、という広告を出している、という記事です。そのためのパン屋ももう確保済みとのこと。

これは普通に考えると、ものすごく妙な話です。

この価格は政府の補助金ありきで保証されている価格なわけで、なんでそのパンを同胞団がわざわざ仲介して売るのかというと、人々に「同胞団が安値のパンを売ってくれている」という恩をきせるためだとしか思えません。

つまりこれは、公金を使っての同胞団および自由公正党の宣伝・・・といってよいでしょう。

せこい・・・なんてせこいんだ、ムスリム同胞団?!

こういうのを、「横領」というのではないか?!

政権維持したい→でも経済問題解決できない→同胞団のせいだって言われたくない→貧乏人に優しい同胞団というポーズをとり続けるにはどうすればいいだろうか?→安いパンは同胞団が売ってくれるってことにしよう!!

こういう感じ?

IMFはエジプトに対して既に、48億ドルの融資を約束しているのですが、上記の条件をエジプト側が受諾した場合に限り、その半額を融資することになる、と言われています。また条件を受諾しなかった場合には、4500万ドルの緊急融資しかしない、ということのようです。

エジプトは現在、財政破綻寸前、IMFからの融資はそれを回避するために必須という状況にあります。

エジプト政府の反応は言うまでもなく、それに連動して、同胞団がどんな手をうってくるか、見逃さずにいたいと思います。

04

03

コメント

シーア派化警戒委員会設立

エジプトでは今年に入り、エジプトにおけるシーア派拡大の動きを懸念する風潮が高まってきています。

アズハルがイランのアフマディネジャド大統領を冷遇したり、「シーア派をつくったのはユダヤ人だ」という珍陰謀論が流行しているのも、その一端です。

特にその動きを警戒しているのがサラフィー主義者たちなのですが、このたび彼らは「シーア派化警戒委員会」なるものを立ち上げることにしたそうです。

発表したのはダアワ・サラフィーヤالدعوة السلفيةという、アレクサンドリアに本部をおく老舗のサラフィー組織で、彼らによると、ただでさえシーア派に改宗したエジプト人المستبصرونが増えている中、今のエジプト政府はイランと接近する政策を実行しており、エジプトにおけるシーア派拡大の危機を打開する為には、自ら動く必要がある、とのこと。

この委員会は各県に支部をおき、各地にどの程度シーア派がおり、どのようなシーア派組織があってどんな活動をしているかを調査し、さらにシーア派宣教を行っている個人を監視するそうです。

また今週の金曜日には、オールドカイロにあるアムル・ブン・アルアース・モスクにおいて、人々にシーア派拡大の危機について呼びかけるための集会を行うそうです。

身近なエジプト人に聞いてみると、「最近、コーランについて一緒に勉強しようとか誘って、シーア派のタフシールを教え込みながら、シーア派に勧誘するという手口が増えている」とか、「女性が女性を誘うかたちで、シーア派布教が行われていると聞いたことがある」とか、いろんな話をおしえてくれます。「シーア派化」のことをアラビア語でالتشيعといいますが、この現象(問題?)はエジプト人の日々の話題にのぼるほど身近なものになっているようです。

折しも現在、ちょうどイランからの観光客がアスワンやルクソールを巡る旅を行っているところです。先日、イラン・イスラム革命後初めて、エジプトからイランに直行便が飛び、イランからもエジプトに直行便がやってきました。それに乗ってイランから観光客がやって来たのですが、これもおそらくイスラム革命以降初めてのことです。

不振に喘いでひん死状態のエジプト観光業界は、「イラン人でもシーア派でも誰でもいいからエジプトに観光に来てくれ〜!!」というわけで、彼らを大歓迎しました。

観光不振はエジプト財政悪化の一大要因ですから、イランからの観光客はエジプト政府も大歓迎なわけで、一方エジプト国民の中にイラン人に対する強い不信感があることも熟知しているためか、このイラン観光団に対してはかなり厳戒な警備体制を敷き、メディア取材も相当規制したそうです。

それでも頑張って取材したエジプトメディアによると、
 
 イラン人の観光客団は49人
 イランの文化人や芸術家らからなる一団
 イラン人男性はカジュアルな服装
 イラン人女性は袖の短い、ぴったりした服を来て、腕は丸出し
 ハトシェプスト葬祭殿や王家の谷を見学
 エジプト土産を購入
 イスラムの聖者廟に参詣する予定は一切なし

といった様子だったそうです。

イラン女性がイランでみんな着ているあのチャドルは、誰も着ていなかったそうです。

ちょっとわかりづらいですが、下の写真の真ん中の女性が頭の上から被っている黒い大きな布がチャドルです。

DSC04580.jpg

これはエジプトにあるイラン大使館のようなところ(正式な大使館は存在してません)で撮ったもので、この女性は在エジプトのイラン人女性だと思われます。

今後も定期的に、イランからの観光客がやってくることになるのかどうか、よくわからないのですが、こうした政府の動きをサラフィー達は「シーア派に接近している!」とかいって、ものすごく警戒しているのです。

ダアワ・サラフィーヤのシーア派監視活動、どんな風に行われることになるのか、非常に気になるところです。

04

02

コメント

エジプトの豚肉屋

今日は、気分転換のために買い物に行ってきました。

買い物といっても、目指すは豚肉屋です(笑)。

国教をイスラム教と定め、殆どの国民がイスラム教徒であるエジプトでは、豚肉はハラーム(禁忌)扱いされており、普通は豚肉を購入することはできません。

それでもエジプトは人口の1割程度がキリスト教徒であり、かつては彼らの中に豚を飼育、販売している人たちもいたのですが、2009年に豚インフルエンザが流行した際に豚が殺処分されて以降、エジプトの大地(?)からは豚が一掃されてしまいました。

日本人の中にも、豚肉を輸入して月に数度販売している人がいるのですが、そこにはまぁいろいろ奥様コミュニティーのあれこれがあったりしてどうも苦手なため、私は1度行ったことがあるだけです。

今日行ったのは、カイロの南部にあるマアーディーという地区にある、ドイツから輸入した豚肉&ソーセージの店。いつか行ってみようと思っていたのですが、なかなか時間がなく、今日が初めての来店です。

うちは運転手がサラフィー系(・・・)なので、豚の顔がどーーーん!みたいな看板が出ていたらどうしよう?!とかドキドキしながら行ったのですが、至って控えめな看板です。

DSC_0590.jpg

入口も地味。何屋さんか、全然わかりません。

DSC_0591.jpg

こじんまりした店内に、冷凍庫がならんでいます。

DSC_0589.jpg

そしてしっかりと、このマーク(笑)。

DSC_0586.jpg

これ、豚だからね、気をつけてね、と、アホでも解釈できる秀逸な(?)マークです。

冷凍庫の中には、豚肉の塊やスライスが詰め込まれています。

DSC_0588.jpg

ソーセージ類もいろいろあります。

DSC_0587.jpg

私は豚バラのスライスとロース、主人はソーセージをいろいろ選びました。

このソーセージ、帰宅後早速食べてみたのですが、「あ〜、これこれっ!これがソーセージ!」という味でした。エジプトにも鶏ソーセージとか牛ソーセージとかあるのですが、これが軒並みえっらくマズいのです。ソーセージは豚に限りますな、やっぱり。

せっかくマアーディーに行ったので、ジェラード屋に寄ります。

DSC_0593.jpg

お店で作っているジェラード。

DSC_0597.jpg

結構ヤミーです。

ついでにその近くの、韓国食材屋に立ち寄ります。

海苔とか・・・

DSC_0598.jpg

お菓子とかあります。

DSC_0600.jpg

店のおばさんに「○○ある?」と聞くと、案外あったりします。今日は、明太子とコチジャンを購入。主人はグミとかハイチューみたいなものを買っていました。

帰りの車中で、一緒に行った某氏と主人はグミとかハイチューを食べて、「これだよ、これ」とかしきりに言っていました。

豚肉とソーセージを買いに行くのが気分転換だったり、グミとかハイチューを食べて大喜びしたり、エジプトの生活ってのはいったい・・・という感じですが、まぁこれが現実です(笑)。

「日本のコンビニがエジプトに一軒でもあればなー」「100均がエジプト上陸とかないかなー」とみんなで妄言をはいていたのですが、私はメロンパンが食べたいな〜なんて思っていました・・・(笑)

04

01

コメント

エジプトの砂嵐(ハムシーン)

エジプトの春は、砂嵐の季節です。

毎日砂嵐なわけではなく、時々「砂嵐の日」がやってきます。

今日はその「砂嵐の日」。朝起きて窓から外を見ると、すぐにわかります。

うちの目の前はこんな感じ。

DSC_0002_20130401211155.jpg

うちの右の方の、ゲジラ・スポーツクラブの上空はこんな感じ。

DSC_0004.jpg

通常この方向にはカイロタワーがそびえ立つのが見えるのですが、砂嵐のせいで何も見えません。

こんな風に、空が一面、黄色っぽい砂色に染まります。決して写真をセピア色に加工したりしていません。まさに、こんな色になってしまうのです。

この砂嵐は3月から4月にかけて時々発生し、たいていは1日で終わります。春に気温の上昇で発生した低気圧が、砂漠の乾燥した砂を巻き上げ、それが地上近くに降り注ぐ(?)ことでこんな状態になるそうです。

低気圧が巻き上げ、降らせるのは砂だけではなく、PM2.5やPM10などの浮遊粒子状物質や二酸化窒素、二酸化硫黄といった大気汚染物質も含みます。なので、この砂嵐は、単なる砂嵐ではなく、大気汚染物質の大放出日であると認識しなくてはなりません。

こういう日は一日中、なるべく外出しないに限ります。

エジプト人は日頃、エジプトの空気の悪さをさほど(全く?)気にする風でもなく生活していますが、砂嵐の日にはさすがに布で口元を覆って外を歩いたりしています。

ところでこの砂嵐。エジプトではハムシーンخمسينと言います。文字通りの意味は、「50」。なんでハムシーンって呼ぶの?とエジプト人に聞いたところ、「そういえばなんでだろう?」と逆に聞き返されてしまったので、ちょっと調べてみたところ、

1)エジプト人は、この砂嵐が50日間隔でやってくると信じていたから
2)この砂嵐の時期が、だいたい50日程度続くから
3)砂漠の温度が、50度にまで上昇するから

等々、諸説あるようです。

話はかわりますが、史上初のアフリカ人力士でありムスリム力士である人は、エジプト人なのですが、この人のしこ名が「大砂嵐金太郎」に決まった時、私にはこの黄色い街の光景しか思い浮かびませんでした・・・。

エジプト人でハムシーンが好きな人なんて誰もいないと思うのですが、大砂嵐金太郎氏自身はこの名前を気に入っているのかなぁ・・・?

プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
海外情報
322位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
中東
6位
アクセスランキングを見る>>

ブログランキング

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

Designed by

Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。