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混乱期エジプトの日常生活

エジプトが大混乱に陥ってから、2週間程度が経過しました。

もともと政治的にも経済的にも社会的にも、安定とはほど遠い状態にありましたが、それでも日常生活には特に支障はありませんでした。

その状況が変わったのが6月末。

モルスィー政権を打倒しようという大規模デモが6月30日に予定され、その数日前から急激に情勢が不安定になりました。

私は仕事をしつつも、家のこともしなければならないので、タイミングをみつけて食糧を買いだめし、さらに車にガソリンを入れておきました。

実際それからは、想像もできないような場所で大統領支持派と反対派の衝突が頻発し、治安が極度に悪化、外出がはばかられる日もしばしばありました。仕事も激増。

外務省のエジプト渡航情報も、「渡航を延期して下さい」という上から二番目の段階まで引き上げられ、在エジプト日本大使館からは、エジプト在住日本人に対し、できれば国外に退避して下さいという要請が来ました。

私の住んでいるのはザマーレクというナイル川の中州地区で、タハリールや衝突発生現場からすぐ近くなのですが、中州であることが幸いして、今のところ目立った混乱は発生していません。

もともとこの地区は、大使館が多く存在し、外国人が多く住んでいるエリアでもあり、他の地区以上に警官や警備員も多く、カイロ市内では最も治安のよい場所です。

そのザマーレクですら、外国人の数は激減し、昨日、今日あたりは、街を歩いていても外国人の姿は殆どみません。

イギリスなんかは、特別機を飛ばして大使館員を帰国させたくらいですし、外国人の多くはたぶんもうエジプトにはいないんだと思います。

日本人に関しても、とある筋によると、エジプト在留日本人は半数以上が既に国外退避したそうです。

知り合いの中にも、既に帰国した人もいます。

外国人が退避した一方、そもそも退避しようのないエジプトの人たちはみんな、できるだけ通常通りの日常生活を送ろうとしているように見えます。

私もできるだけそうするように努め、運動の好きな娘は欠かさず体操教室や水泳教室に連れて行っていました。

食料品に関しても、野菜や果物といった生鮮品は今までどおりに流通していますし、お米やパンも手に入ります。

全ての食料品が1.5倍くらいに値上がりしていますが、お店はふつうに営業しています。

工事をする人や、お掃除をする人も、いつも通りに仕事をしています。

ただ、日によっては、日常生活が完全に麻痺してしまう一日もあります。

例えば昨日などは、早朝に大規模衝突が発生し、軍が装甲車を出動させてあちこちの道を封鎖したため、出勤するために家を出た人々が出勤できず、家に戻るというケースが続出しました。

うちの下にあるお菓子屋さんも急遽閉店、娘の体操教室も、水泳教室も、中止となってしまいました。

道を走る車も殆どなく、こういう日はかなり絶望的な気分になります。

エジプト、終わったか・・・という、なんとも表現のしにくい、救いようのない気持ちです。

ところが不思議なもので、半日大きな衝突などがなく過ぎると、なんだかやっぱりエジプト大丈夫じゃん?!という気分になります。

そんな浮き沈みの激しい毎日が続いて、はや2週間。

さすがに結構疲弊してきました・・・。

このところ、内戦下のシリアの人々に思いを馳せることがよくあります。

シリアに比べれば、エジプトの現状は比較のしようのないほどずっとマシですが、きっとシリアの人たちも、明日は今日よりいい日がやってくるはず、と信じながら、出来る限り普通の生活を送ろうと懸命に頑張っているんだと思います。

娘の友人に、シリアから避難してきた子がいるのですが、先日、殆ど人のいないプールで、その子とその家族に会いました。

避難先のエジプトもまたこんなことになっちゃって、大変だなあなんて思ったのですが、彼女達はこれくらいのことはものともしていませんでした。

出来る時にね〜運動しとかないとっ!と至って元気。

シリア人はよくわかりませんが、エジプト人は基本的には底抜けに楽観的な人たちです。

こういう先の見えない不穏な日々においてこそ、彼らの楽観性を見習いたいと思います。
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09

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軍は無辜の市民を殺害したか?

7月8日午前4時、エジプトでは非常に気味の悪い事件が発生しました。

場所はカイロ市内、空港にほど近いナセルシティーにある共和国防衛隊庁舎前です。

そこで大規模衝突が発生し、51人もの死者がでました。

ムスリム同胞団は、死者の殆どが同胞団員であり、軍が平和的抗議活動を行っていた市民の礼拝中に突然銃口を向け、虐殺したのだと、さかんに主張しています。

同胞団は、自分たちのテレビ局や新聞社を持っていたのですが、政変の後当局によって閉鎖させられてしまったため、現在はもっぱらfacebookの公式ページにおいて情報発信を行っています。

そこには、この「虐殺」の犠牲となった団員たちの血まみれの写真が、これでもかというくらい掲載されている他、スィースィー将軍が虐殺を実行したのだと批判されていたり・・・

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スィースィーはシリア内戦の張本人であるバッシャール・アサドと同じだ、と批判されていたり・・・

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とにかく、クーデターを起こした軍が完全な悪者であり、我々同胞団は無辜で無力な被害者だという姿勢を貫いています。

一方エジプトのテレビ・メディアは、この衝突において同胞団員が軍に向けて実弾を発砲したり、火炎瓶を投げつけている様子をおさめた多数のビデオを放映し、同胞団員は無抵抗の無辜の市民などではない、しています。

例えばこちら。



現場では、武器を所持していたとして多数の同胞団員が逮捕されたのですが、その映像はこちら。



またエジプト各紙も、同胞団がこんなにもヤバい人たちだということを、全面に出した報道をしています。

例えばこちら、タハリール紙。

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様々な武器を持った同胞団員の姿に、赤でマークをいれています。見出しは、「同胞団、民衆と軍に対して宣戦」。

また、政府系新聞であるグムフーリーヤの一面がこちら。

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共和国防衛隊庁舎を襲撃したのは、「テロリスト」とされています。

同胞団=テロリスト、ということです。

この衝突では、間違いなく多数の死傷者が出ているのですが、軍は軍人に死傷者がでたことは発表していますが、自分たちは武装勢力の攻撃に対して自衛をしただけだとしており、武力行使したことは認めておらず、軍人以外の死傷者についても言及していません。

気味の悪い話です。

当然、じゃあ、なんで同胞団員はたくさん死んだのか?ということになりますが・・・。

一説によると、このデモには、謝礼金の支払いを条件に、同胞団と関係のない人々もたくさん動員されていたと言われています。謝礼金は150から300ポンド、名前を書いたリストなども発見されています。

さらに、同胞団を撃ったのは武装した私服の人間だった、という目撃証言もあります。

それって・・・同胞団が、団員以外の人間をカネでつって共和国防衛隊庁舎前に集め、バルタゲーヤに襲撃させたっていうことですか???

なんて想像まで働かせてしまいたくなります。

同胞団の嘘つきっぷりは、今日のエジプト各紙でも強調されており、中でも、同胞団が昨日facebookに「軍の攻撃の犠牲になった子ども」として掲載した遺体の写真が、実はシリア内戦で犠牲になった子どもの写真だったということが、大きく報道されています。

例えば、アハラームにはこんな感じで書かれています。

DSC05117.jpg

この写真は、2013年3月14日にシリアのサイトに掲載されたものであったことが判明した、とあります。

昨日、同胞団団長のムハンマド・バディーウは、「スィースィー将軍はエジプトをシリアの運命に導こうとしている」と、これまたfacebookに書き込みをしましたが、エジプトをシリア化させたいのは、他ならぬ同胞団のほうだということが、はからずも明らかになってしまったかたちです。

いやはや。

エジプトの人たちにいわせると、今のエジプトの状況は、2011年にムバラクを失脚させた革命の時よりもずーーーーーっと悪いそうです。

2年前の革命時には、治安悪化の原因はバルタゲーヤだけで、まあバルタゲーヤが人を襲ったり、盗みを働くのはしょうがないというあきらめがあったし、軍が出動した後は治安悪化も緩和されたそうなのですが。

今回は何が恐ろしいかって、エジプト国民がまっぷたつに分裂していることだ、とみんな口を揃えて言います。

反同胞団か、親同胞団かで国民は二分されており、しかも互いに対する嫌悪感が尋常ではないレベルに達してしまっていることは、先日アレクサンドリアで起こった突き落とし事件などからも見てとれます。

ふつうの人がふつうの人を、イデオロギーの違いだけであんな風に殺害するなんて、本当に異常事態だ、と思っている人たちは、エジプトが内戦状態に陥ることを懸念し始めています。

同胞団の思惑どおりに、エジプトがシリア化しないことを、私も強く願っています。

07

07

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「ムルスィー大統領に服従せよ」

今回の政変について、昨日、カラダーウィー師がファトワーを発行しました。

カラダーウィーはムスリム同胞団出身の有力&有名スンナ派ウラマーです。もちろん、エジプト人。

ファトワーの全文はこちら

同ファトワーによると、

ムルスィーはエジプト国民が初めて自らの手で選んだ大統領であり、彼を失脚させることは、憲法の上でも、正統性の上でも、過ちである。スィースィーの行いは過ちであるから、エジプト国民と政治諸派は彼の過ちを正さねばならなかったのに、逆に皆で大統領を裏切った。これは全然ダメ。

とのこと。

同胞団は、今回の政変は軍事クーデターであり、我々に正統性الشرعيةがあるとずっと言い続けており、この正統性ってなんのことだろうなーと思っていたのですが、このファトワーによると、正統性ってのは次のような意味があるようです。

正統性の点に関しては、エジプト国民が文民国家の最高権威として望んでいるものがイスラムの法الشرعであり、彼らは神権制の宗教国家を望んでいるわけではない。これを支持する者はすべて、選挙によって選ばれた正統な大統領に服従し、彼の命令を実行しなければならない。

なるほど。

つまり、エジプトは憲法の統べる法治国家だけど、最高権威となるシャリーアがその上に君臨しているのだから、シャリーアを奉じる者は須らく憲法を順守しなければならず、したがってムルスィーに服従しなければならない、ということのようです。

論理破綻してますが・・・。

ファトワーは以下のように続きます。

ただし、これは二つの条件を前提としている。第一は、大統領が、神のもとでの罪となることを国民に命じていない、ということ、第二は、大統領が、不信仰となることを国民に命じてはいない、ということである。ムルスィー大統領は、国民に対して、罪も、不信仰も命じてはいない。だから、この大統領を裏切ってはならない。

かなり緩い条件・・・です。

そして次のように締められます。

選挙で選ばれた大統領を裏切ることは、エジプトにとってはハラームであり、反憲法。エジプト国民は一丸となって、革命を護り、自由と民主主義を守り、独裁と軍政を防がなければならない。

うーん。一応ハディースとか引用しているのですが、なんとも説得力に欠けるファトワーです。

これに対して、今日のエルヨウムッサービウには、面白い記事が載っていました。

カラダーウィー師の三男で詩人のアブドゥッラフマーン・ユースフ・エルカラダーウィーعبد الرحمن يوسف القرضاوى氏の寄稿です。

「親愛なるお父さん、ごめんなさい。ムルスィーに正統性はありません。」という題。

主旨は以下です。

我々はムルスィーをエジプト革命の大統領として選んだのに、彼は我々のあらゆる求めを裏切ってきた。彼自身が憲法を守っていないし、閣僚と合意のもとに政治を行うこともしないし、多数派の見解を考慮することもない。これでどうして、エジプト国民すべての大統領ということができようか?大多数の民衆が、この指導者に正統性はないと合意したのなら、その指導者に正統性はない。正統性は、民衆に起因するものなのだ。

なるほどねー。

今、タハリールでやっている、「民衆に由来する正統性」と銘打ったデモは、そういうことなんだと思います。

同胞団は、既に停止された憲法と、イスラムのシャリーアに立脚した正統性を主張し、反同胞団側は、あくまで民衆パワーを正統性の根源としている、ということのようです。

方やスンナ派法学者、方や詩人。方やエジプト人だけどカタールに囲われた状態、方やエジプト民族主義者。

親子対決、実に面白いです。(マニアックですみません。)

ちなみに、日本語の記事ではこの「正統性」を「正当性」と書いてあるのをよく見るのですが、同胞団も反同胞団派もともに、我々が正しい!(正当性)と主張しているだけではなく、その根拠を問題にしているので、「正統性」を使うべきだと思います。

07

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「穏健派」ムスリム同胞団の蛮行

今日のエジプト各紙は、同胞団の暴力行為を全面に出して批判する記事に溢れていました。

こちら、「タハリール」。

「犯罪者同胞団(イフワーン・ムジュリムーン)」の見出し。「ムスリム同胞団(イフワーン・ムスリムーン)」をもじったタイトルです。

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こちらは「ワタン」。

同胞団員によって突き落とされた人の写真が、クローズアップされています。

DSC05109.jpg

政府系新聞「アフバール」も、同胞団の軛から解き放たれたようです。

一面見出しは、「同胞団、アレクサンドリアにて未成年者達を殺害」。

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これらの記事で非難されている同胞団員の蛮行は、動画でも記録されています。

以下、アレクサンドリアで若者を突き落として殺害する同胞団員。



台の上にいる若者を突き落とし、更に下にいる同胞団員がその若者を殴ったり蹴ったりしてます。

残念ですが、この若者は亡くなってしまいました。

ちなみに、今日の日本の某新聞の記事には、こう書いてあります。

イスラム過激派はジハード(聖戦)を掲げて武器をとるが、暴力を否定する穏健派・同胞団の殉教作戦は、大規模な平和的デモを続けて、逆に軍や警察の武力介入を引き出そうとするものだ。」

・・・(苦笑)。

上の映像の人、ふつうにジハードの黒旗を掲げて、武器を持って、一般市民を殺してますけど・・・。

この記事書いている人、ここ数日間、エジプトで何が起こっているか、何も知らないんでしょうか・・・というか、報道方針がアルジャジーラと同じ過ぎて恐いくらいです。

ここ数日の同胞団員の反撃は、団長ムハンマド・バディーウが5日に行った演説によって火をつけられたと言ってよいと思います。

バディーウ演説はこちら。



バディーウには逮捕状が出されていますが、軍が彼を野放しにしているのは、彼に同胞団員を沈静化させる役割を期待していたからだと言われています。

しかし彼がやったことは、真逆の行為。

同胞団員をあおった結果、5日夜には私の家のすぐそば(マスペロ&6オクトーブル橋)でも大規模衝突が発生しました。

同胞団員がタハリール方向へ攻め込んで来て、マスペロ前と6オクトーブル橋を封鎖、反対派や治安部隊と衝突し、バンバン銃声がなって、一時はもう終わった・・・と思ったのですが、軍が装甲車を出動させて沈静化。終わってみれば、犠牲の規模という点ではそうたいしたことのない衝突でした。

というか、エジプトではムルスィー政権下で、これ以上の大規模衝突がいくらでも発生しているので、そう考えると、同胞団の反撃はたいしたことはなく、軍は同胞団の暴力のおさえこみに概ね成功していると言えます。

これらの事件で、バディーウの暴力&殺人扇動罪はもう確定でしょう。

昨夜は、同胞団ナンバー2のシャーティルが逮捕されました。

その瞬間の映像がこちら。



シャーティルは、カタトニーやアーキルらと一緒に、15日間はトラ刑務所に入れられて、取り調べをうけるようです。

軍の筋によると、スィースィー将軍は、ここ数日の同胞団による一般市民にたいする暴力行為、テロ行為を見て、同胞団とは絶対に交渉しない、と固く決意したそうで、一方私も、同胞団はやっぱりイスラム過激派だったという認識を再確認しました。

同胞団員ではありませんが、前回の大統領選では一大旋風を巻き起こしたインチキ説教師ハーゼム・アブー・イスマーイールも逮捕されました。

逮捕の瞬間映像はこちら。



殺人の扇動と、人々に武装させ戦闘訓練をさせた容疑がかけられているようです。

同胞団員だけではなく、ターリク・ズムルなど、イスラム団の大物にも続々と逮捕状が出されています。

これにびびったのか、イスラム主義者たちが、命乞いに走っています。

たとえばこちら、アブー・イスラーム。



反同胞団派の人々に対して、自分の言動を詫び、許しを求めています。

・・・。

この人、以前インタビューにいったときに、私のことを「イスラエルのスパイ」と言って疑った、かなりのレベルのイスラム主義者なのですが、こういう変わり身の早さを見ていると、本当に絶対信用できないな、こういう人・・・と思ってしまいます。

エジプトのテレビ説教師というのは、なんでこんなにインチキ野郎ばっかりなんでしょうか・・・。

ともあれ、同胞団員の反撃がたいしたことのないレベルで終わり、早く治安回復がはかられることを祈るばかりです。

シナイ半島では、ハマス、もしくはハマスの友達らがテロ活動を活発化させていますし、アルカイダ系組織がムルスィー支持を主張して暴力行為を警告してきていますが・・・。

07

04

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さらばムスリム同胞団

今日、エジプトに新しい大統領が誕生しました。

エジプト史上二人目の、「暫定大統領」です。

アドリー・マンスールという68歳の人のよさそうなおじいちゃんで、私は全然知らない人ですが、ベテランの裁判官であるだけでなく、各方面に人脈をもつ人のようです。

これをもって、ムスリム同胞団政権は完全に終焉を迎えました。

それだけではありません。

ムスリム同胞団自体が、組織として終焉を迎えそうな流れが見えてきました。

昨夜から今日にかけて、モルスィー前大統領を含む同胞団幹部に渡航禁止令が出され、さらに検察が逮捕命令を下した他、一部の幹部に関しては既に投獄されてしまいました。

まさに急転直下。

同胞団は、The Endへの道をまっしぐら・・・です。

昨日から、同胞団団長のムハンマド・バディーウの逮捕が一部で報道されていましたが、今日になってそれが確かであることが判明しました。

副団長のバイユーミーと、同胞団の政党である自由公正党党首のカタトニーの二人に至っては、既にトラ刑務所送りとなっています。

トラ刑務所というのは、カイロ市内にある刑務所で、今、ムバラク元大統領が収監されている場所でもあります。

同胞団幹部らに対する容疑は、伝えられている限りでは、「デモ隊殺害を扇動した罪」ということになっています。

この1週間ほど、各地で同胞団員が市民に向かって発砲したり、切りつけたり、殴りかかったりしており、それ自体は証拠つきの紛れもない事実なわけで、幹部らは自らそうした行為にのぞんではいないものの、それを団員に命じた嫌疑がかけられているのです。

逮捕命令が出ているのは、200人以上の同胞団幹部に対してのようです。

一方、同胞団自体に対しても、市民団体に暴力の行使や武器の所有、製造などを禁じる2002年に制定された法令84条に違反した容疑で、解体命令が下される見通しが立ってきました。

完全に、同胞団に対する大弾圧です。

ムバラク時代、大概一度は何らかの形で投獄されていた同胞団幹部の皆さん。

せっかく刑務所から出て、しかも表舞台に立って正々堂々と政治活動をして、さらに政権を握って大統領まで輩出したのに、たったの一年で刑務所に逆戻りです。

こういっては不謹慎ですが・・・かなりしびれる展開です。

まぁ、同胞団は50年代にナセル大統領によって大弾圧を受けた経験がありますし、それでもまたしぶとく復活してきたわけですから、これで同胞団が消滅することはないでしょうし、復権してくることもあるのでしょうが、ひとまずこれで終了・・・でしょう。

軍のスィースィー総司令官が48時間のデッドラインを定めたとき、シャーティルは「今政権を手放したら、50年は復権できない!」と言って、ムルスィーの辞任に強硬に反対し、それで同胞団幹部会議が決裂したとも伝えられています。

私も、そう思います。

シャーティル自身も、もちろん逮捕者リストに名を連ねています。

一部では、ハルガダで既に逮捕されたとも伝えられているのですが、まだ確かではありません。

なお、同胞団は今回の政変を、軍のクーデターだっ!、民主主義への敵対行為だっ!と猛烈な勢いで非難していますが、もはや負け犬の遠吠え。

同胞団と仲よくしていたイランやトルコも、足並みをそろえて、クーデター批判を展開。

カタールはさっさと同胞団を見捨てて、「マンスール暫定大統領の就任を祝福する」のだそうで。

一貫してムルスィー支持の姿勢を貫いてきたアルジャジーラの方針も、きっと変わるはずです。

ものごとというのは、環境や時勢、思想や信仰や倫理観次第で、白にも黒にも見えるものだ、ということが、こんなにわかりやすく示される事例は、そうはないのではないかと思うくらい、歴史的、哲学的思索をそそられる政変です。

07

01

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同胞団政権崩壊まで48時間?

エジプト軍総大将であるスィースィーが、「48時間猶予を与えるので、政治諸派は問題を解決せよ」という、超上から目線の声明を発表しました。



それができない場合には、軍が未来に向けてのロードマップを示すそうです。

これは30日に、「偉大なるエジプト国民によって、全国規模で行われた前例のない規模の民意の表明」を受けてのことだそうで。

はっきりとは言っていないものの、これはつまり、「48時間以内にムルスィーがやめなかったら、軍がムルスィーをやめさせるからね」ってことです。

エジプト国民は大喜び。

タハリールではみんなで国家を歌ったりしています。

うちの近所でも、車のクラクションをやたらに鳴らしたり、大声を上げたりして喜んでいる人々が散見されます。

エジプト人の友人(金持ち)は、「本当にコントみたいな国よね・・・」とため息をついていましたが、大多数のエジプト人はただただ、歓喜に沸いています。

今タハリールや大統領宮殿に集まっている人々は、同胞団に対して勝利宣言をしているに等しいように思います。

タハリールの上空では、エジプトの国旗をつるした軍のヘリコプターが旋回しており、まるでもう軍がエジプト全権を掌握したことを高らかに告げているかのような様子。

この国は一応近代的法治国家で、憲法も政府もある民主国家なはずなのですが、そういうのを軽々と飛び越えて好きなようにふるまってしまえるのがエジプト軍の特徴で、しかもそれを喜んで受け入れてしまうのがエジプト国民の特徴なわけで。

もちろん嫌われ者の象徴のようになっているムルスィー大統領も、選挙で民主的に選ばれたのですが。

エジプト国民は、自分たちが選挙で民主的に選んだ大統領が、軍によってその座から引きずり降ろされるのを喜ぶという、ある意味かなりマゾヒスティックな人々です。

またこうした事態は、エジプト的にはクーデターではなく、民衆革命と呼ぶことになっています。

だって、「軍と民衆の手はひとつ」ですから・・・。

これって2011年の革命のときと同じシナリオじゃない・・・?とついつい思ってしまいますが、エジプト国民がこれで満足するならばいいんでしょう。うん。

よそ者が、憲法がどうの、民主的手続きがどうのと、いうもんじゃありません。

ムルスィーはおとなしくやめそうもありませんが、なんだかムルスィーを信任するかどうかの国民投票をして乗り切ろうと画策しているようです。

出た!同胞団得意の国民投票戦法!!

ここまできちゃうと、もうそういうのでは乗り切れないと思うのですが、かといって同胞団がせっかくつかんだ政権の座をあっさり譲り渡すとも思えません。

軍によってひかれたデッドラインは7月3日の16時。

長引くよりは、どんな形であれさっさとかたがついてくれたほうがありがたいのですが。

幸いなことに、前回のムバラクの時とは違って、ムルスィーには実力行使したくても手駒がいないのが現状です。彼が動かせるのは、せいぜい同胞団員だけですので、さすがに正規軍相手に戦争をしかけることはないでしょうし、万が一したとしても全く相手になりません。

6月30日革命、成功は目前、といったところでしょうか・・・?

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エジプト史上最大規模のデモ

昨日6月30日の反体制デモは、エジプト史上最大規模だったようです。

確かにものすごい数の人だったのですが、軍筋によると参加者数は1700万人、内務省筋は1500万人が参加したとしています。これが本当だとすると、エジプト人の5人に1人くらいがデモに参加したことになります。

カイロで大規模集会が行われたのは、タハリール広場とイッティハーディーヤ大統領宮殿前だったのですが、この二カ所においては平和的に抗議活動が行われました。

ただカイロも、モカッタムにあるムスリム同胞団総本部においては激しい衝突が発生し、負傷者が多数でました。

反対派の若者らは、最初、総本部に石を投げ、その次に多数の火炎瓶を投げつけ、爆発も発生しました。

対する同胞団員は、総本部の中から、最初、デモ隊に対してゴム弾を発射し、その後実弾を発射して応戦しました。

デモ隊に向かって実弾を発砲する同胞団員の映像がこちら。



モカッタムでの衝突は、今日になって再開されています。

昨夜、反体制デモの中心である6月30日戦線は、今日(7月1日)からのゼネストを呼びかけたので、今日は街はどうなっていることかと思ったのですが、先ほど街中に出てみたところ、人の数は少ないものの、多くの店は普通に営業しており、警官もいつも通り道に立っていました。

案外、普段通りの状況です。

観察していたら、小売店に卵屋さんやパン屋さんのトラックがやってきて、商品を搬入していました。工場なども通常通りなんだと思います。

私がいつも野菜を買っている道ばたの八百屋さんも、普段より1時間ほど遅れて、ギザから野菜を持って現れました。

ガソリンスタンドも営業していました。

というわけで、現状、普通の生活ができる環境です。

6月30日戦線は、ムルスィーに対し、明日7月2日の17時までに辞任するよう要請し、また人々に対しては、明日再度大規模デモを呼びかけているのですが、ムルスィーが明日の17時までに辞めるわけがありませんし、かといって反体制派がこのままおとなしく引くというのも考えにくいですし、先が見えなくなってきました。

余談ですが、同胞団出身のカラダーウィーは昨日、エジプト国民向けにメッセージを発し、「エジプト国民よ、今は互いの忍耐が肝要だ。我々は30年もの間、ムバラクに耐えてきたのに、なぜたったの1年ですらムルスィーに耐えられないのだ?!」と、わかったようなわからないような呼びかけをしました。

「変化を望むなら、選挙を通して成し遂げねばならない」とも言っており、まあ、こちらは同胞団の立場に歩調を合わせています。

更に余談ですが、昨日はエジプトの映画スターも多数デモに参加していました。

モナ・ザキーمنى زكىが結構たくさんテレビに出ていました。



昨日のデモを受けて、今後どうなっていくのかは神のみぞ知ですが、少なくとも、想像以上に同胞団が嫌いな人がたくさんいる、ということははっきりしました。

革命後に行われた議会選挙、大統領選挙で同胞団が勝利した後も、同胞団スタイルがエジプト人の気質に馴染むわけがないと信じて疑わなかった私ですが、あながち間違えてはなかったことが判明し、ちょっとすっきりしました。

どうにか頑張ってほしいもんです、エジプト。

プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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