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ハラームだらけな春香祭

昨日(5月6日)は、エジプトでは春香祭الشم النسيمで休日でした。

春香祭自体は、古代エジプトの収穫祭にルーツがあるとても古いお祝い行事らしいのですが、現在はコプト教徒にとっての復活祭の翌日と定められています。いつが復活祭になるかはコプトの暦次第なので、これまた毎年変わるのですが、だいたい毎年四月〜五月の日曜日(いつもの礼拝日&休日)→月曜日(復活祭)→火曜日(春香祭)と三連休になります。三連休になるのはコプトだけかと思いきや、エジプト全体が三連休で、しかも実はエジプトはもともと金曜と土曜が休日なため、三連休の前二日は休み、更に今年はその二日前の5月1日がメーデーで休み、ということで、5月1日から6日まで連休のところが殆ど。

更に更に、4月25日はシナイ半島解放記念日というエジプトの祝日であるため、ひどいところ(?)は4月25日から5月6日まで連休をとっていました。うちの娘の行っている幼稚園はこのタイプ・・・。

話はもどって春香祭ですが、この日には、エジプト人はリンガرنجةというニシンの薫製や、ファスィーフفسيخというボラの塩漬けを食べたり、ピクニックに行ったり、海に行ったり、一応イースターなのでゆで卵の殻に色を塗ってそれを食べたり等々するのが伝統となっています。

ところがサラフィーたちは、これらの伝統の諸行為を全部ハラームだ!!と言って息巻いている様子。

今日のシュルーク紙によると、ダアワ・サラフィーヤのイーハーブ・シャリーフ師は「春香祭は異教に由来するビドア(新奇)な祝祭であり、これを祝うことはイスラムに抵触する」という趣旨のファトワーを発行して、春香祭に関わるあらゆる祝い事を禁止。彼によると、「こうした行為は我々の信仰を貶める」そうです。

また、ダアワ・サラフィーヤの公式サイトである「サラフの声」صوت السلفは、ファスィーフを食べると健康被害が出るとしてこれを禁止。そもそも春香祭に特定の食べ物を食べること自体が不信仰者の行いであって、ムスリムがそれを真似て行うことは許されない、とのこと。

更にダアワ・サラフィーヤの報道官であるアブドゥルムヌイム・シャハートは、卵に色を塗るなどバカバカしい行為であり、イスラムには「宗教には易きが肝要」という原則قاعدةがあり、その原則に基づいてシャリーアの規定が緩和されることもあるけれど、卵の殻に色を塗るなどといった行為はそうした緩和の対象外である、というファトワーを発行しています。彼はまた、ファスィーフを食べることは、ハラーム(禁止)ではなく、マクルーフ(忌避)であるともしています。

一方、ミニヤー県のサラフィーの若者たちは、「春香祭は我々の祝祭ではない」という声明を発表し、同祭はファラオ時代、次にはユダヤ人、更にキリスト教徒が継承して来た異教の祭であるから、ムスリムはこれを祝わないように、と呼びかけたそうです。この声明では、今の世の中には、「愛の祭(バレンタイン)」や「母の日」といった、イスラムと無関係な祝祭が多数あるので、ムスリムはこうしたビドアから遠ざかり、子ども達にはこれらを祝わないよう教育を施すことが肝要、ともしています。

サラフィーたちは、毎年こうしたビドアな行事がやってくる度に、あれもハラーム、これもハラーム、と大変な勢いで批判するのですが、多くのエジプト人はそれを意に介している風ではありません。

異教の祭をムスリムも共に祝う姿は、中世のマグリブやアンダルスでも見られましたし、この現象自体は別に現代に限ったことではありません。中世も、今のサラフィーと同じ言葉でこうした祝祭を批判するファトワーは多く発行されましたが、やっぱりみんな、基本的には「お休み」とか「お祝い」とか「バカ騒ぎ」とか大好きですからねぇ・・・。一般小市民からささやかな楽しみを奪うって、ものすごく難しいことだと思います。エジプトで「伝統」として春香祭が定着していることが、そのひとつの証(?)と言えるでしょう。

ちなみに、「宗教には易きが肝要」という既出の「原則」ですが、これは中世におけるイスラム法の発展プロセスにおいて生まれてきた概念です。先日刊行されたORIENTという学術雑誌にこの「原則」概念についての拙稿が掲載されています。イスラムを考える上ではものすごく大切な概念なのですが、日本でこれを力説しても、全然賛同が得られません・・・(苦笑)。

サラフィーというと、コーランとハディースに拘泥しているイメージがありますが、この「原則」は彼らの大事にしている「正しきサラフたち」に由来する概念なので、現代のサラフィーたちは割に「原則」を多用します。

・・・と、話がオタクになりすぎの感があるので、本日はこのへんで。
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プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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