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「正しいイスラム」のススメ

エジプトは、マリにおける「正しいイスラム」の伝道の役をかってでるそうです。

昨日ブリュッセルで開催されたマリ支援国際会議において、エジプトのアムル外相は、「マリの安定化はアフリカ全体にとっての重要課題。そのためには、人道的、経済的状況の改善だけではなく、不安定化の根源にある問題(つまりイスラムの過激化)を解決する必要がある」と述べた上で、「エジプトはマリにおいて正しいイスラムの寛容な教えを広める役割をアズハルにゆだねる準備がある」と提言しました。

マリでは、北部で2012年1月にトゥアレグ族が独立を求めて蜂起したのを契機に内乱が激化。もともとは同族がアザワド(マリ北部三州)の独立を求める運動だったはずが、いつのまにか戦闘の主体がアルカイダの分派を中心とするイスラム過激派にのっとられ、彼らが攻勢を強めたため、2013年1月にはフランスが派兵する事態に至りました。

マリ北部では現在も、イスラム過激派とマリ政府軍&フランス軍との戦闘が継続中で、エジプトからもジハード戦士(・・・)が参戦しています。

私が「イスラム過激派」という名称で意図しているのは、ここでは「武装闘争によってイスラム国家の建設を成し遂げようとするムスリムたち」のことです。私個人としては、こうした考え方&実践は過激だな、と思うので、過激派としています。

ただ彼ら自身は自分たちのことを「イスラム過激派」だとは認識しておらず、むしろ自分たちこそ「正しいイスラムの実践者」であると認識しています。

ではエジプトのアムル外相の言っている「正しいイスラムの伝道」とは何かというと、彼の立ち位置はある意味私と同じで、ある意味私とは異なります。

どの点が同じかというと、マリ北部にイスラム過激派がいると認識している点であり、どの点が違うかというと、私は「正しいイスラム」っていうのは星の数ほど(?)あると認識しているのに対し、アムル外相はアズハルこそが正しいイスラムを(唯一)体現していると認識している点です。

これはアムル外相というか、一応エジプトの公式見解で、「エジプトにおける正しいイスラムの担い手=アズハル」ということになっているだけではなく、アズハルがスンナ派すなわち全イスラムを司る正統な代表であると信じられています。

ただ実際はかなり微妙な問題を多くはらんでおり、まず第一にエジプト以外のアラブ・イスラム諸国は、アズハルの権威なんてそう簡単に認めません。例えば私が留学していたモロッコでは、カラウィーイーンがイスラムの最高権威だとされており、アズハルの存在感なんて皆無です。確かに東南アジアのイスラム諸国からは、アラビア語やイスラムを学びにアズハルに留学してくる学生が多くいますが、それがすなわち、彼らの国々でイスラムの最高権威としてアズハルが認められいる、ということには全然なりません。

それにそもそもエジプト国内ですら、アズハルの権威が絶大かというとそんなこともなく、アズハルは時の権力者におもねるファトワーを乱発してきた歴史もあり、エジプト国民は「またアズハルが変なこと言ってる!!」的なとらえかたしかしていない節もみられます。

そもそもエジプト国民にとっての正しいイスラムとは、両親や周りの人々の理解するイスラムであり、モスクで説教をするイマームの説くイスラムであり、あるいはお気に入りの説教師の説くイスラムであったりするわけで、必ずしもそれがアズハルの説く公的イスラムとイコールではないわけです。

アズハルのイスラムと同胞団のイスラムもこれまた全然異なるわけで、同胞団が政権をとって以降は、アズハルをどうやって同胞団化していくかが、政権の隠れた課題であるという側面もあります。今のアズハル総長は、「自分の目の黒いうちはアズハルを同胞団化させたり絶対しない!」と先日主張していましたが、モスクのイマームが徐々に同胞団のイマームにすげかえられているのもまた事実。

マリにアズハルの人間(=エジプト人)が行って、「ほれ、これが正しいイスラムじゃ!!」なんて言ってみたところでどれだけ効果があるのか、私ははなはだ疑問ですが、このおせっかい根性こそがエジプト人の真髄・・・みたいなところもあるので、「はいはい」くらいに思って見過ごすのがよいのかもしれません。
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プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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