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カタールの戦略:最終兵器としてのカラダーウィー

先日出版されたLe Vilain Petit Qatar: Cet ami qui nous veut du mal という書籍が、エジプトでちょっとした話題になっています。

Nicolas BeauとJacques-Marie Bourgetという、二人のフランス人ジャーナリストによって書かれたカタール王室に関する曝露本(?)なのですが、今をときめく(笑)カタールの裏事情とあって、ちょいちょい面白いことが書かれています。

私が気になったのは、カラダーウィー師についてのくだり。

カラダーウィー師についてはこちらでも書きましたが、 86歳になるエジプト人スンナ派学者で、カタールを拠点に活動しています。もともと同胞団員であるため、長らくエジプト政府に目の敵にされていましたが、革命後、エジプト的スンナ派最高学府であるアズハルに凱旋を果たしました。

Le Vilain Petit Qatarでは、カラダーウィー師はカタール王室にとって最重要人物の1人であり、また代表的なカタールの顔であるとされています。

というのもカタール王室は、「カラダーウィーを利用することで、イスラム過激派とその暴力からカタールを防衛することに成功しているから」だそうです。

著者の1人は、2006年にカラダーウィーに対して行ったインタビューにおいて、彼が、「ハマド国王は私に対し、『あなたは過激派に対する我々の守護者である』と言った」、と述べたとしています。

カタール王室は、カラダーウィーの他にも多くの「賓客」を抱えていますが、カラダーウィーの力は絶大で、例えば、ハマド国王が保守的カタール国民の多くが反対する女性参政権を認める法案を通そうと考えた時、カラダーウィーに対し、女性参政権を認める内容の説法をモスクで行ってほしいと依頼したそうです。

90年代にアルジェリア情勢が緊迫した際には、アルジェリア大統領のブーテフリカの専用機に乗ってアルジェリア入りし、アルジェリア政府とイスラム主義勢力の和解に尽力。これも、カタール王室の計らいだったとのこと。

シリア情勢に関しても、例えば2011年にシリア外相のムアレムとハマド国王がドーハで会談した際、ハマド国王は、「シリア政府がアラブ・イニシアチブを受け入れるならば、我々はアルジャジーラの編集方針を変更し、カラダーウィー師に対してもシリア内戦の停戦と和解に協力するよう要請する」と言ったそうです。

アラブの春に関しても、カタールはこれを支持する立場を取りましたが、これは決してイデオロギーや宗教の理由ゆえではなく、単にカタールが中東地域での覇権を握る為の好機だと考えたからだ、とのこと。エジプトにムスリム同胞団政権ができることを支持したのも、カタールの覇権確立に有利だとみたからのようです。

カタールとカラダーウィーとは、お互いを保護し、保護される関係にある
→カラダーウィーはもともと同胞団員
→同胞団がエジプトで政権をとれば、エジプトはカタールの臣下になったも同然

という感じ。

ハマド国王自身、次のように述べたそうです。

「カタールはカラダーウィーを保護している。だからカラダーウィーの朋友である同胞団を支持するのは、当然のこと。しかもアラブの春は、アルジャジーラのおかげで成功したも同然。今やカタールは、過去に前例のないくらい、地域覇権を手にするための好機を得たといっても過言ではない。」

いやぁ、ハマドさん、ものすごい腹黒いっぷりを露見させています。

ちなみに日本の中東専門家の中には、アルジャジーラの報道が中立とか公正とかいってあがめ奉る傾向がありますが、アルジャジーラはカタールが国家プロジェクトとして設立した、カタールの、カタールによる、カタールのためのテレビ局であって、中立でも公正でも、なんでもありません。

(っていうか、公正中立な報道なんて、厳密な意味ではどこにも存在しません。だって、どのニュースを取り上げるかにはじまり、どんな取材をして、どんな映像編集をして、どんな原稿をのせるかに至るまで、たえず人間の取捨選択が介在しているわけで、にもかかわらず「公正中立な報道」をうたっている局っていうのは、そういうもんとして視聴者を洗脳しようとしている悪質報道機関じゃないですかね。それにそもそも、「公正中立」=「善」って勘違いしている人が多くいますが、公正中立ってそれ自体、善でもなんでもないし・・・ぶつぶつ・・・)

シリア情勢に関しても、今は反体制派を完全正義とする立場で報道していますが、ハマドの意向ひとつで、こんなものはいくらでも変更されます。

実際、ハマドの思惑以上にシリア内戦が長引いて来てしまったため、アルジャジーラの編集方針がほんの少し反体制派よりから離れて来たかも?なんてふしも見られます。

エジプトは実際、ハマドの思惑通りに、今やカタールの臣下(?)もしくは奴隷(?)みたいに成り下がろうとしています。あーだこーだ言わずにエジプトにお金をぽーんと貸してくれるのは、もはやカタールしかいないですからねえ。

ハマド、恐るべし・・・。
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プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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