--

--

コメント

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
管理者にだけ表示を許可する

この記事のトラックバックURL

http://nouranoiitaihoudai.blog.fc2.com/tb.php/120-4fbed4df

05

28

コメント

エジプト人のヨーロッパへの密入国

多くのエジプト人の憧れの地、それは欧米です。

アラブ諸国は反米反欧思想も強いのですが、それと同時に同地への憧憬も強いのが特徴です。

憧憬にもいろいろなかたちがありますが、一部のアラブ人は欧米、特にヨーロッパに渡り住む為には密入国も辞しません。私が留学していたモロッコも、毎年千人単位の若者がヨーロッパへの密入国を試み、そして失敗することで知られていますが、エジプトにも同じような状況があります。

今日のドストール紙には、ダクハリーヤ県の若者が次々にヨーロッパへの密輸入を試みているという記事が掲載されていました。

ダクハリーヤは農業地帯で、米の産地として知られているのですが、今春に入ってから同県とマトルーフ県への上水の供給が滞り、ダクハリーヤの農地は干上がって、農民達が途方に暮れるという状況が続いています。

ダクハリーヤの農村には、もともとヨーロッパを夢見る若者が多かったそうなのですが、このところの農業不振によってその流れが加速。彼らはエジプトから直接、あるいはエジプトからリビアを経由し、そこから地中海を渡ってイタリア、ギリシア、フランスなどを目指すそうです。

こうして船で密入国を試みるエジプト人が密入国に成功する率は、およそ10%。残りは船の転覆などの事故で死ぬか、渡航に成功しても現地の警察などに拘束されるかのどちらかです。

ダクハリーヤの農村では、数年間で数百人の若者が密入国を目指した結果行方不明(つまり死亡)になっており、ミート・ナーギーという村にはそうした若者が36人いるそうです。

ヨーロッパとはいっても、かつてエジプトの若者たちは主にフランスを目指したそうですが、このところイタリアの人気が高まっているそうで、立地的にはギリシアの人気も根強いそうです。

今のギリシアなんて、不景気イメージ先行の国という感じしかしないのですが、エジプトの若者たちは「ヨーロッパ=パラダイス」という幻想を抱いているので、そんなことおかまいなしです。ヨーロッパに行きさえすれば、仕事について、ばんばんお金を稼ぐことができて、ひと財産つくって故郷に錦を飾れる、と彼らは信じています。

密入国は一種のビジネスにもなっていて、密入国を手引きするブローカーがいるのですが、例えばあるブローカーでは、ギリシアへの密入国の代金は1人につき6万ポンド(約90万円)とされており、前払いとして1万ポンド支払い、密入国成功の暁に残りの5万ポンドを支払うという契約になっているそうです。

漁船の所有者が密入国のブローカーをかねていることもあり、ある漁船所有者は4万5千ポンド(約67万円)でギリシアへの密輸入を請け負っているそうです。

エジプト人は平均月収が2000ポンド(約3万5千円)程度なので、ブローカーに支払わなければならないお金がいかに大金かは想像にかたくありません。おそらく、借金をしてこうした金をかき集めるようなパターンが多いのではないかと推察します。

彼らは多くの場合、数人の友達と一緒に密入国を試みます。皆独身の若者かと思いきや、結婚したばかりの人や、既に結婚して子どもも数人いる人なども結構いるそうで、結婚や家庭といったものは密入国をとどまらせる要因にはならないようです。

ダクハリーヤの農村には、息子や親戚を密入国の失敗で亡くしたという人がたくさんおり、記事にはそうした人の話も掲載されていました。

また、過去に密入国して、当地の警察に拘束され、エジプトに連れ戻された人も多くおり、もう懲りているのかと思いきや、彼らの多くは「またヨーロッパに渡るつもりだ」と言うらしく、これにもまたびっくり。

イスラム教徒というのは、いろいろと不思議なところがあるのですが、そのうちのひとつは、なんで彼らは地上に楽園があるという幻想を抱いているのだろうか、という点です。

イスラムにおける楽園(天国)は、現世がおわり、来世に至って初めて現れ、最後の審判において現世での行いが評価された者(もちろんムスリム限定)だけが入ることの出来る地とされているはずなのに・・・です。

そして豚や酒、姦通をハラームだハラームだとうるさく言うのに、なぜそうしたハラームに溢れたハラームの地に憧れを抱き、そこへ命をかけてまで渡ろうとするのかも、さっぱりわかりません。

原因は金でしょうか?

いや、金でしょうか?というのは愚問で、金が理由だとしか考えられないのですが・・・。

そうだとしても、拝金主義や、命をかけてまでハラームな地に渡りハラームな職につきハラームな金を稼ぐことは、基本的にイスラムに反します。

でも密入国を試みる彼らは、おそらく・・・いやほぼ間違いなく、自分は立派なムスリムだと自負していることでしょう。

やっぱりいつまでたっても不思議な宗教です、イスラムって。。。
スポンサーサイト
管理者にだけ表示を許可する

この記事のトラックバックURL

http://nouranoiitaihoudai.blog.fc2.com/tb.php/120-4fbed4df

プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
海外情報
239位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
中東
7位
アクセスランキングを見る>>

ブログランキング

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

Designed by

Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。