--

--

コメント

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
管理者にだけ表示を許可する

この記事のトラックバックURL

http://nouranoiitaihoudai.blog.fc2.com/tb.php/129-22c74b06

06

23

コメント

ルクソールの「テロリスト」知事辞任

「テロリスト」知事と言われていた、エジプトのルクソール県知事アデル・ハヤトعادل الخياطが先ほど、正式に辞任しました。

彼が知事に任命されたのは、つい一週間前のこと。その後、就任式で宣誓をして、「私はルクソールの観光の復興に尽力する」とかなんとか言っていたのですが、一週間であっさりと辞任です。

この人は、イスラム団というイスラム主義グループの幹部メンバーです。

イスラム団といえば、泣く子も黙るテロリスト集団。今でこそ武装蜂起を宣言していますが、かつてはエジプトの政権を打倒する為に、政権の主たる収入源である観光に打撃を与えようと、観光客を狙ったテロを実行してきました。

1997年11月には、ルクソールのハトシェプスト葬祭殿にて、日本人10人を含む外国人観光客58人を虐殺するテロ事件を実行。

そのイスラム団の幹部メンバーがルクソール知事だなんて、誰が聞いてもあり得ない選択ですが、それをやってしまうのがエジプトのムルスィーという大統領です。

ムルスィーは先週、全国27県のうち17県の知事をいきなり新しく任命しました。

うち7人はムルスィーと同じムスリム同胞団のメンバー。

エジプト国内的には、この知事の「同胞団化」のニュースの方が大きかったのですが、外国メディアとしてはやっぱりルクソールの「テロリスト」知事の方がずっと気になります。

アデル・ハヤト氏は、1975年にイスラム団に入団し、現在は同団の政治部門である建設発展党のメンバーでもあります。彼自身は、直接誰かを殺したりしたことはないらしく(まぁ、組織の偉い人はそんなもんです)、35年にわたり公務員として勤めてきました。

辞任会見で、「私は35年も技術者として国に尽くして来たのに、こんなかたちで知事を辞任しなくてはならないとは、痛恨の極みである」云々と述べています。

ものすごく不思議・・・というか、あきれてしまうのは、この「テロリスト」知事氏を含む、イスラム団の全メンバーが、「ルクソール事件とイスラム団は一切関係がない」と口をそろえて言う点です。

以前、イスラム団の幹部にインタビューをしたことがあるのですが、その時も、「ルクソール事件とイスラム団は無関係」とか、「事件の犯人達がイスラム団のメンバーであったという証拠はない」とか、白々しく言い張っていました。

この件については、たとえばエジプト人の有名な司会者であるモナ・シャーズリーという女性が、早速自身の番組で「イスラム団のメンバーをルクソール知事に任命するなんて、狂気の沙汰です」と批判。その数日後、今度は知事自身を電話で「生直撃」し、「責任を感じないのですか?」と詰め寄ったのですが、ゲストの男性が、「知事、あんたは人殺しじゃないかっ!」と言ったところ、知事は怒って電話を切ってしまいました。



エジプト国内でも、特に地元ルクソールの観光業者たちの反発はものすごく、「ただでさえ観光客が減っているのに、俺たちを殺す気かっ!!」と大ブーイング。「テロリスト知事はお断り」と書いた垂れ幕を県庁入口に掲げて、座り込みのデモを行ってきました。

実際、外国の多くの観光会社は、「こんな人が知事をしているルクソールには行かれない」と、今後のツアー予定を取り消す旨を宣告。早速、ツアーやホテル宿泊のキャンセルが相次ぎ、今日のワタン紙によると、2700人の外国人観光客がルクソール観光をする前にルクソールから撤退した、とのこと。またユネスコも、ルクソールでの活動を停止したそうです。

ザアズーウ観光大臣も、「お前が辞めるかオレが辞めるかどっちかだっ!!」と抗議。カンディール首相に辞表を出して、知事氏に辞任を迫ってきました。

それでついに本日、辞任。

しかしエジプトっていうのは、知事を大統領が勝手に任免する権利があるということを初めて知りましたが、ムルスィーのやっていることはいよいよめちゃくちゃです。

今回の件は、ムルスィーはエジプトという国のことなんて全く考えておらず、同胞団のことしか考えていないということの、ひとつの証左だと言えるでしょう。

ルクソール県はもともと、同胞団の力がそれほど強くなく、今回の知事任命は、同県に根強い基盤をもつイスラム団と同胞団とのコネクションを確立させ、今後の選挙に備えるための布石だったと言われています。

いやぁ、本当にヤバい大統領です。

6月30日には、彼の大統領就任1年を記念(?)して、反ムルスィーの大規模デモが予定されているのですが、このデモには120万人の観光業者も参加する、とされています。

観光は、エジプトのGDPの10%以上を占める重要産業です。エジプト人の10%程度が観光業界で働いているといっても過言ではないわけで、その観光業者を敵に回してしまったムルスィー・・・というか、同胞団政権が今後どうなるのか。注目していたいと思います。
スポンサーサイト
管理者にだけ表示を許可する

この記事のトラックバックURL

http://nouranoiitaihoudai.blog.fc2.com/tb.php/129-22c74b06

プロフィール

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
海外情報
115位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
中東
3位
アクセスランキングを見る>>

ブログランキング

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

Designed by

Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。