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軍事クーデターの可能性の有無

昨日、エジプトの防衛大臣にして軍のトップであるスィースィー将軍が、今週末に予定されているデモに軍が介入する可能性を指摘しました。

スィースィー(なんか名前を日本語にするとちょっとアレなんですが・・・)将軍は、次のような演説を行いました。

「我々(エジプト軍)を律するのは、エジプト国民の意思のみである。そして我々こそが、この偉大な人々の意志を保護する責任を負っている。(中略)我々はエジプトが紛争や内乱、宗派間闘争、国家組織の崩壊という暗いトンネルに落ち込んで行くのを許すわけにはいかない。私は我々全てによって、エジプトが守られることを希望する。」

彼の演説は聴衆に大拍手をもって迎えられ、スタンディングオベーションが7分間も続いたそうです。

エジプトという国において、軍はいろいろな意味で特別な存在です。

エジプト軍の特徴は何よりもまず、「文民統制下におかれていない」ことにありますが、その他にも、

1)軍事外交、安全保障に関する決定権を保有している
2)膨大な軍事予算の使い道を勝手に決めることができる
3)軍産業の運営権と利権を保有している

といった特徴を持っています。

軍産業というと、武器かなんかを作っているイメージがわくかもしれませんが、エジプト軍はいわゆる軍需品の他、ミネラルウォーターやマカロニといった日用品から、ガソリンまで、何でも生産するし、何でも販売します。彼らはそれら独自のブランド、工場、販売所も持っています。更に軍は、不動産事業やリゾート開発、ホテルの運営なんかもやっていますし、サッカーチームも保有しています。

エジプトの軍産業は、国のGDPの25%から、最大で40%を占めるのではないかとも言われています。

この件は、エジプトにおいては一種のタブーみたいなものです。

当然、軍人にはものすごい特権が与えられていますし、退役軍人やその家族にもその特権は継承されます。

こうした特権にもかかわらず、エジプト軍は「エジプトとエジプト国民を守るヒーロー」として絶大な人気を誇ってきたのですが、2011年の革命時、反体制運動に出た民衆に手をださなかったことで、彼らは更に株を上げました。

ムバラク政権の崩壊を軍が傍観した(つまり支持した)のは、ムバラクが軍の特権を縮小・規制する方向に動き出そうとしていたからだと言われています。

その後、軍政を敷いてあれこれあったために、多少評判は落としましたが、やっぱり軍自体の民衆人気は高いままだというのが現状です。

ムルスィーは大統領に就任してすぐに、前の防衛大臣タンターウィー元帥をクビにして今のスィースィーにすげかえたのですが、それ以降、軍は政治には全くノータッチできたため、私もかなり軍の存在というものを忘れていました。

それが、ここへきて、急に「軍再来」です。

軍がムルスィー政権を温存する気なのかどうなのかは、昨日のスィースィーの演説からはわからない・・・というか、どちらにもとれるのですが、基本的に軍が守りたいのは軍の特権であって、彼らが主体的に政権を奪取したいと考えているかというと、それは違うと思います。

エジプトの今の大問題は経済問題なわけで、軍が門外漢の政治に介入し、さらにこんな面倒な問題を抱え込んでまで得られるものは、何ひとつないですし、それどころか人心が離れることで求心力を失うことになるだけでしょう。

それに、彼らが民主主義を支持するという場合、その民主主義は「軍を文民統制下におく」ことを除く民主主義でなくてはならず、ムルスィー政権もその点では軍的に「合格」なわけで、今すぐムルスィー政権をつぶす必要もありません。統制不能の妙な輩(リベラル派など)が、やれ軍を文民統制下におけだのと騒ぎ出すほうが、軍としてはずっと迷惑なはずです。

今回また、革命の時のように、タハリールや大統領宮殿前に戦車などを出動させて仰々しく警備体制を敷き、更にデモ参加者に一切手出しをしなければ、軍はまた株を上げることができるわけで、その後どうするかは、情勢を見て判断すればいいだろうと思っているんじゃないでしょうか。

なんだかいろいろ書いていたらまだるっこしくなってきましたが、要するに、軍が何らかの形で介入するとしても、軍事クーデターとかにはならないだろう、と私は思います。

実力行使ができるのは軍しかいないので、ムルスィーを見限って引導を渡す、ということはあるかもしれませんが。

体制派と反体制派、あるいはイスラム派と世俗派が衝突して、流血事件は起こるかもしれませんし、ムルスィーが辞任するまで座り込みをする云々といったことはあると思いますが、7月の9日か10日にはラマダンも始まりますし、混乱はせいぜいそのくらいまでで収束に向かうのではないでしょうか。

・・・というか、そうあってほしいと願っています。
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プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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