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新憲法は「軍の権限を強化」?!

昨日から二日にわたって行われている、新憲法草案に対する国民投票ですが、昨日は当局の想像を上回る投票者がやってきたため、投票までかなりの待ち時間があったり、新たな投票所を増設して対応するなど、相変わらずのてんやわんやでした。

朝一で仕掛け爆弾が爆発するというしょうもない出だしではありましたが、治安当局も、仕掛け爆弾を多く発見して撤去したり、武器を所持した同胞団員を逮捕したり、投票所を封鎖しようと大挙してやってきた同胞団員を押さえ込むなど、獅子奮迅の活躍(?)を見せ、大きな人的被害は出ないまま、投票プロセスは進んでいます。

同胞団員を中心に11人亡くなっていますが・・・。

ところで、日本のメディアは、みな横並びで今回の憲法は「軍の権限を強化」するものだと書いているのですが、あれ?そうだったっけ・・・?と不思議に思って、もう一度憲法の原文を見直してみました。

原文はこちら

誰でも読むことができ、かつ、「いいね」とか、「よくないね」とかに票を入れたり、コメントを書き込むこともできるようになっています。

軍に関する規定はこちら

201条は「防衛大臣は軍人である軍総司令官である」、というもの。

あれ?今までもずっとそうでしたよね・・・?

つまり大統領が軍の意向を無視して勝手に好きな人を防衛大臣に任命することはできないわけで、また文民支配の原則なんてものははなから全くないわけですが、これがエジプトのスタンダードかと・・・。

203条には「軍の予算は、軍の予算委員会で決定する」、とありますが、これも以前の憲法と同じ。

国の通常予算は、議会で審議され、承認されなければならないのですが、軍の予算だけはその例外とする、というのもエジプト・スタンダードです。

そして最も議論になっていたのが、軍事法廷に関する204条。

4月6日運動といった民主活動家らが激しく批判していた項目で、ここには、「軍事法廷で裁かれるのは基本的には軍人のみであり、民間人は裁かれない。ただし、是是然々の民間人は、その例外とする(つまり、軍事法廷で裁かれる)」と規定されています。

民間人は、どんなことをすると軍事法廷送りになるかというと、

・軍の施設を直接的に攻撃する犯罪
・軍の基地を直接的に攻撃する犯罪
・軍の指揮下にあるものを直接的に攻撃する犯罪
・軍の敷地内にあるものを直接的に攻撃する犯罪
・軍の敷地の境界線にあるものを直接的に攻撃する犯罪
・軍の設備、車両、武器、弾薬、文書、軍事機密、軍の財物一般、軍需工場に対する犯罪
・軍人の採用に関わる犯罪
・軍人および軍の職務にあたろうとする者を攻撃する犯罪

を犯した場合である、と、しっかりはっきり、明記されています。

民主活動家らはこれを「反民主的だ!!」として大批判を展開していたのですが、ひるがえって2012年憲法はどうだったかというと、

「軍事法廷で民間人が裁かれるのは、その民間人が軍を害する犯罪に及んだ場合である」

とやんわり(?)規定されているわけでして。

やんわり規定ならOKだけど、きっちり規定はダメってことなんですかねえ?

軍事法廷の存在というのは、三権分立の外にあるわけで、これもエジプトの伝統というか、スタンダードです。

トップの決定も、予算の決定も、軍事裁判の実行も軍に権限を与えるという意味では、確かに今回の憲法は軍の権限を保証するものではありますが、基本的に今までと何も変わらないじゃん、というのが私の感想です。

以前にも書きましたが、エジプト軍というのはとてつもない特権を有した巨大組織です。

この特権は、これまでの憲法でも、そして今度の憲法でも保証され続けることになるわけで、これが根本的にはエジプト経済の活性化を妨害する要因になっていると言えないこともないのですが・・・

ある程度の特権でもないと、毎日命をはってテロリストと戦うなんてできないよね・・・と思ってしまうのもまた事実。

それくらい今のエジプトの治安は悪く、毎日テロ事件が発生し、毎日多数のテロリストが逮捕され、軍や警察に複数の犠牲が出ているのです。

絵に描いた餅のような民主主義云々ではなく、治安が回復し、経済も社会も安定して、軍がこんな特権を持っているのはおかしいよね、という国民的議論ができるまでに、エジプトが国として成熟することを願ってやみません。
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プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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