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ドリーム・チャンネル閉鎖危機と報道の自由

先日ここにも書いたドリーム・チャンネルが、こんなことになってしまっています。

DSC04306.jpg

どうやら先週の金曜日(11月16日)から、こんな状態になってしまったようです。この画面に記されているのは、

「ドリーム・チャンネルは、ヒジャーム・カンディール政権より下された決定により、番組の放送ができなくなっていることをお知らせします。我々は合法的に放送を行ってきましたが、にもかかわらず、政府から下された決定はスタジオからの番組の放送を禁じました。これは自由、特に報道の自由を規制しようとする計画の一環だと思われます。」

といった内容です。

ドリーム・チャンネルは1979年にライセンスを取得し、ナイルサット経由で放送を行ってきました。ドリーム1とドリーム2があり、現在は両方ともこんなことになっています。情報省の説明では、ドリームは放送権の契約が終了した後、更新しないまま放送を続けてきたので、これは違法行為である、とのことですが、ドリーム側はそんなことはないと主張しています。

ドリームはエジプトではかなり人気のあるテレビ局なので、日本で言えば、例えばフジテレビ(笑)やテレ朝が急にお上によって放送禁止になった、というような感じであり、非常に奇妙な現象です・・・とはいえ、エジプトではこうしたことが、まあ、ふつうに発生します。

2011年の革命でムバラク政権が倒れた後、エジプトは「民主化」したことになっていますが、現状はそれほど美しいものではありません。それを象徴するもののひとつが「報道の自由」をめぐる問題です。

たとえば同胞団が主導する現政府は、今年の8月にアハラームالاهرامやアフバールالاخبارといった政府系新聞の編集長を突然一挙に全員交代させ、それ以降、これらの新聞から政府批判の記事は全くなくなってしまいました。エジプトの法律では、シューラー議会が政府系新聞の編集長を任命する権利を有することになっており、同胞団がシューラー議会で第一党である現在、同胞団は合法的に編集長変更という事案を実行することができるのです。

アハラームなどの政府系新聞は、(当然のことながら)ムバラク時代には完全にムバラクの利益にかなった報道しかしませんでしたが、革命後編集長を変更し、当局に対する批判的な記事も掲載するようになりました。例えばアハラームは、ムルスィー大統領が就任してから、彼が就任後100日で成し遂げると約束していた様々な問題の解決について、カウントダウン形式で毎日報道していました。今日は就任から3日目、あと97日で交通渋滞の問題やゴミ問題をどう解決していくのか、といった感じです。ところが編集長が変わった次の日から、このカウントダウン記事はなくなってしまいました。

またこれと時を同じくして、激しく同胞団批判を行ってきたドストール紙الدستورの編集長アフィーフィー・イスラーム・アフィーフィー氏が逮捕され、同紙が没収されたり、ファラーイーン・チャンネルのオーナーであるタウフィーク・エルオカーシャ氏がアンカーをつとめる番組でムルスィー殺害を呼びかけた罪で逮捕され、同チャンネルが放送禁止処分を受けたりもしました。

昨日、ドリームの放送禁止に抗議する目的で、独立系報道関係者たちが共同記者会見を開きました。同胞団が何かを同胞団の支配下におくことを、今年の新語で「アフワナالاخونة」というのですが、彼らは「報道のアフワナ(イフワーン化)」に対しては全面的に戦っていくという姿勢を見せています。

この会見において、ドリーム・チャンネルの責任者であるアフマド・バフガトاحمد بهجتは、「これはドリーム・チャンネルに対するムスリム同胞団の復讐である」と述べています。彼曰く、ドリームの女性アンカーであるギーハーン・マンスールجيهان منصورが、担当する朝の番組内で同胞団の政党「自由公正党」のイサーム・エルアリヤーンعصام العريانに対して批判的発言をしたことが、放送禁止の直接の原因だとのこと。ギーハーンさんは、同胞団に批判的発言をすることで知られている人です。バフガト氏は、ドリームの他にもアッタハリールやファラーイーンといった各チャンネル、また独立系新聞は、政府や同胞団批判を続けているとドリーム同様放送禁止や発禁処分をうけることになるだろう、と警告しています。

それでも同胞団の圧力には屈しないとするバフガト氏は現在、エジプト国外からドリームを放送することを検討しているそうです。そうすることによって、エジプト政府からの圧力をうけない状態で放送を行い、報道の自由を守りたいという意向のようです。

民主主義とは何かという問題は、私がここで軽々に論じられるような簡単な問題ではないことは言うまでもありませんが、その根幹には報道の自由があるという点では、概ね一致しているのではないかと思います。当局に対する批判的発言が許されない国家を、民主的であると形容することはないのではないでしょうか。

その意味ではエジプトは未だに、全然民主的国家ではないのだと思います。

同胞団批判をする政府系新聞があるならば編集長を変えてしまえ!、それが独立紙であるなら没収してしまえ!、独立系放送局であるなら放送ライセンスをとりあげてしまえ!という今のやり方が、エジプトの将来にとってよいものといえるのかどうかは言うまでもない・・・ように思うのですが。
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プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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