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虐待夫を密告した妻とファトワー

数日前、エジプトでは孤児院を経営していた男が、孤児達を虐待していた罪で逮捕され、そいつがとんでもない奴だったということが徐々に明らかになってきています。

もとはテニスのコーチをしていたという、このウサーマという男。

孤児達に対して殴る蹴るといった肉体的虐待、暴言を浴びせるといった精神的虐待を日常的に繰り返していた他、政府からの補助金の横領、寄付金の着服など、あらゆる悪事を尽くしてきたそうで、それを警察に告発したのは他でもない、この男の妻でした。

彼女のインタビューが今日のワタン紙に掲載されているのですが、個人的に興味深かったのは、彼女がこの問題について悩んだ際に相談したのが、ファトワー発行局(دار الافتاء)の相談所だったという点です。

1ヶ月程前、カイロにある学術振興会のセンターでファトワーに関する講演をしたのですが、この事件がその前に起こっていたら、そこで絶対に言及していました。

エジプトのファトワー発行局というのは政府の官庁のひとつで、ここのトップを大ムフティーと呼び、彼がエジプトにおけるイスラムの最高権威者のひとりとされています。

(スンナ派イスラムは信徒全ての認めるヒエラルキーがないのが特徴なので、あくまでも「最高権威者のひとり」にすぎないのですが・・・)

ファトワー庁では、特定の政策や社会問題等についてファトワー(つまり、イスラム法的見解)を発行する他、一般市民からの質問を受け、それに対してファトワーを発行するという活動も行っています。

ウサーマの妻は、この制度を利用したわけです。

かねてより、夫の孤児達に対する暴力を知り、どうすればいいか悩んでいた彼女は、ファトワー発行庁に赴き、次のように相談したそうです。

「私の夫は、たいへんな悪事をはたらいています。自分の経営する孤児院に住む孤児達を、虐待しているのです。私はその虐待の場面を記録したビデオを手に入れました。でも夫は、もし私がそのことを誰かに告げたら、私を離婚すると言っています。私はそれでも告発すべきでしょうか、それとも、虐待を受けている子ども達を放置すべきなのでしょうか?」

これに対して、相談を受けたムフティー(ファトワー発行者)は以下のように返答した(ファトワーを発行した)そうです。

ムフティー 「ただちにあなたの夫を告発しなさい。」

妻 「でも離婚が。。。」

ムフティー 「地獄に行くよりは離婚のほうがましです。」

このファトワーを受け、彼女は社会連帯省の担当者に相談し、最終的に警察に夫を告発、警察はただちに夫を逮捕し、この事件が明るみになりました。

ファトワーというのはあくまでも、イスラム法に立脚した見解にすぎないので、イスラム法が施行されていない現代エジプトにおいてそれが何の役に立つのか?と思われる方もいるかもしれませんが、このようなかたちでムスリム達の悩みにアドバイスを与え、それが具体的に問題の解決につながるというケースもあります。

もちろん、逮捕された夫は、イスラム法ではなくエジプト刑法にもとづいて罰を受けることになります。

奥さん、勇気ありますね。

孤児達は長く続いた精神的、肉体的虐待のせいで、心身ともに深く傷ついているそうです。

できるだけ早く、癒されますように。。。
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プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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