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エジプト武装勢力がイスラム国入り

ついにエジプトの武装勢力アンサール・バイトゥルマクディス(ABM)が、イスラム国に従うことを宣言しました。

1週間程前に「カリフに忠誠を誓う」という声明文を発表したものの、この声明文は偽物だ!だの、本物だ!だの諸説乱れ飛んだのを経て、今回出されたのは音声による声明文の読み上げです。

概要は以下。

ユダヤ人と十字軍、イスラムの背教者らによってムスリムが蹂躙されている昨今の状況下に、ジハード(聖戦)を戦う者として選ばれた戦士達である我々は、イラクにイスラム国を建設し、シャリーア(イスラム法)を適用し、ハッド(法定)刑を実施している信者の長、カリフ・イブラーヒームに忠誠を誓う。エジプト国民よ、いつまで背教者の圧政下に甘んじているつもりなのだ?神の命令に従い、剣をもって立ち上がり、神の道において悪魔どもと戦い、エジプトにイスラム国を建設しようではないか!

そしてシナイ半島は早速、イスラム国の「シナイ県」として認可(?)されたようです。

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もう少ししたら、「さっきの音声メッセージは偽物だ!」「いや本物だ!」だのいう論争が再度始まらないとも限りませんが、一応これが本物だとすると。。。

ABMは、エジプトで政府や軍・警察、エジプト一般国民、エジプト在住外国人などをターゲットとするテロ活動を行っているイスラム武装組織です。

もともとの活動拠点はシナイ半島北部で、シナイ半島に住む部族民とガザからやってきたハマスのメンバー、エジプトのムスリム同胞団員で主に構成され、戦略や武器、武装訓練などに関しては同胞団がかなりコミットしているとされてきました。

ムスリム同胞団は、イスラム国からみると裏切り者、背教者の腐敗組織です。なぜなら、西洋由来の民主主義とやらを標榜し、選挙とやらによって政権をとるというストラテジー自体が、イスラム国的にはハラーム(禁止)だからです。

議会選挙でも大統領選挙でも勝利したにもかかわらず、2013年の夏の政変で政権の座を負われた同胞団は、今でも「正統性は我々のもとにあり、今のエジプト政府は不正なクーデター政府だ!」と主張して、エジプト各地でデモや騒乱を起こしています。

そして一方では、何がどこまで本当なのかわかりませんが、ABMやアジュナード・マスルといったテロ組織をつくり、あるいはそこに参画し、エジプト政府や軍、それを支持し自分たちを政権の座からおいやった無知蒙昧でジャーヒリーヤ世界に属すエジプト国民に対するテロ攻撃を行ってきました。

ABMが同胞団からの支援を受けてきたことは間違いありませんが、ここへきてイスラム国のカリフに忠誠を誓ったということは、

1)同胞団からの支援(資金や武器)が滞ってきている→イスラム国にそのへんを頼りたい
2)同胞団を政権の座からおいやったからではなく、民主主義を奉じているだけで現エジプト政府が十分にジハードの対象となる
3)現エジ政府を倒したとして、次にあるべきは同胞団が主導するイスラム民主主義などではなく、イスラム法にもとづく統治でなければならない

と考えたからだ、と推測されます。

ABMが今戦っている相手はもっぱらエジプト軍です。たまにイスラエル側に迫撃砲を撃ち込んだりもしていますが、イスラエルや欧米諸国がシナイ半島におけるテロとの戦いに参加しているわけではありません。

またABMに入り込んでいるハマスのメンバーにしても、目的は聖地エルサレムの奪還とそこにおける「パレスチナ国家」の建設です。

そういった「近い目標」や「近い敵」という点においては、イラクとシリアにまたがった地域に建国され、欧米およびアラブ諸国からなる有志連合軍やシリア軍、イラク軍と戦うイスラム国とABMは全く異なります。

しかし、世界全てをシャリーアで統治し、イスラムで満たす、という「最終的な目標」という点において、両者は一致しています。

また実際に、イスラム国の資金や武器などがシナイ半島に流れれば、エジプト政府にとってはますますやっかいなことになるのは目に見えていますし、イスラム国は先日、「シナイ半島だけじゃなく、カイロのど真ん中に戦場をもってこなければならない」云々というメッセージを出してもいるので、テロがエジプト国内に今以上に拡散する可能性もあります。

2年前くらいまでは、エジプトではよく「エジプトにアルカイダはいるか?いないか?」なんてことが議論になったのですが、アルカイダとイスラム国とではいろんな意味で異なっており、エジプトにイスラム国のアフィリエイトのような存在ができてしまうと、アルカイダの場合の数倍は大変なことになると思います。

ちなみに今のイスラム国のカリフ・イブラーヒーム(いわゆるバグダーディー)は、死んだとか負傷したとかいう説が流れていますが、たとえ死んだとしても大勢に影響はありません。またみんなで、次のカリフを選び、あらたにバイア(宣誓)を行えばいいだけの話です。

さあさあ、いよいよエジプトもイスラム国問題に関わらざるを得なくなってきました。

・・・いや、楽しみにしている訳ではありませんので、念のため。。。

(こういう話がでると必ず、これはエジプト政府がシナイ半島を攻撃しやすくするためにやっている自作自演だ、みたいな説が流れますが、まあ、そういうのはおいとくことにします。)
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プロフィール

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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