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イスラム国シナイ県の恐怖

昨日公開された、アンサール・バイトゥルマクディスABM改め、イスラム国シナイ県のビデオは、エジプトを震撼させています。

今朝公開されたイスラム国の連続首切りビデオがあまりにもヤバすぎて、世界的には前日のABMのビデオなんてどうでもよいような扱いになってしまっていますが、エジプト人、そして特にエジプト政府にとってはABMのほうが脅威であることは間違いありません。

30分にわたるビデオは、「イスラム国シナイ県広報局」によって制作された、古典的なジハードビデオです。今朝公開された最近のイスラム国ビデオのような、編集を勘案した上で演出・撮影した映像は一切なく、これまでの攻撃や戦士のメッセージなどの映像をつなぎあわせ、それにジハードの節をつけています。

私が全体から感じたのは、特に以下の三点です。

一点目は、なんでシナイ半島でこんなにエジプト軍がやられまくっているのか、という理由がなんとなくわかった、ということ。

二点目は、シナイ半島からテロをなくすには、極端な話、シナイ半島住民が全滅しない限り不可能なんじゃないかな、ということ。

そして三点目は、イスラム入りしたことで、一応彼らなりの世界戦略のようなものを提示したかったんだな、ということです。

一点目ですが、このビデオには、ABMがエジプト軍人を攻撃する映像が多く収められているのですが、その多くでエジプト軍人はほぼ丸腰、反撃など全くしないまま、コテンパンにやられている状況が映し出されています。

カラム・エルカワーディースと思わしき軍基地では、軍の基地なのに、警備がものすごく手薄で、軍人の宿舎に至っては、軍人皆殺し状態でした。

道を走る軍の車両も、襲われたらひとたまりもないような普通の車で、ABMの車に追い付かれ、銃撃されて、全滅していました。

道を普通に歩く軍人も、後方からふつうに銃撃されて死んでいました。

つまり、何が言いたいかというと、シナイ半島はこれだけABMの攻撃が頻繁で、テロとの戦いの最前線であるはずなのに、エジプト軍はろくに防衛策もとらず、なぜか不思議なほどに緊張感もなく、軍人たちはかなり適当な状況下におかれている、ということです。

ABMからすれば、こんなに無防備な敵、殺したい放題だぜ、といったところでしょう。

ここを攻撃したABM戦士の一人は、遺言メッセージで、「シシよ、我々がお前たちの首を切り落とす剣となるであろう」なんて言ってました。。。

二点目ですが、(以前からわかっていることですが)ABMはエジプト軍がシナイ半島で無辜な住民を虐殺してると認識し、それへの復讐心が彼らの政府軍への攻撃の原動力になっているようです。

ABMはもともと、メンバーのほとんどがシナイの部族民で、彼らは経済発展から取り残され、医療も教育もない状態におかれていることで、非常に強い反政府思想を持っている人がもともと多いとされています。それに加え、近年のテロとの戦いで、エジプト軍が彼らの集落を「攻撃」し、その巻き添えになって「女や子ども」が死んでいることが、彼らの怒りをさらに増長させています。

今回のビデオの中でも、部族民らしきメンバーが、「シシよ、お前たちが無辜なムスリムの女や子どもを虐殺してきたことを、我々は決して忘れない」と言っていました。

家族を殺された部族の人が、怒りも新たにABMに加わる・・・という連鎖を考慮すると、もう、シナイ半島住民の誰がABMのメンバーで、誰がメンバーではないか、なんて区別はつきません。

この状況はそれこそ、ガザ住民はみんな潜在的にハマスである、というイスラエルの論理に通じるものがあります。

ビデオでも、シシはイスラエルの手先だ、と何度も強調されていました。

三点目ですが、ビデオでは、「エジプトのガスパイプラインを、将来的にはカリフの元にまで届かせる」とか、「エジプトなんて、我々にとっては敵でもなんでもない。我々は最終的には、全世界を支配することになる」とか、これまでのABMビデオには見られなかったメッセージがかなり詰め込まれていました。

「神が世界をムスリムで満たし、神の法で世界は統治されることになるだろう。
パスポートもビザも必要のない世の中が訪れるのだ。
我々は神の道において死することをよしとする。
我々を統治するのは神の法のみである。」

とのことです。

今回のビデオから伝わったのは、シシとエジプト軍に対する憎悪ばかりですが、今後攻撃の対象が在エジプトの外国人や外国関連組織に向かないとも限りません。

とはいっても、ABMがイスラム国入りしたところで、組織やメンバーが急に変わるとか増えるといったことはないですし、これまでカイロ近辺では仕掛け爆弾程度のテロしか起こせていないことを勘案すると、急に首都のど真ん中で大規模テロが起こるとも考えにくいなあ、とは思います。

しかし一方で、ここまでエジプト軍の腰抜けっぷり(・・・失礼)を見せつけられると、身近でいつ大規模テロが起こっても不思議はないな。。。という、あきらめに似た気分にもなってきます。

いつもここに書いているように、エジプト軍と警察のおかげで、私はこうしてエジプトに住んでいられる、という感謝の気持ちは常にありますが、なんていうんでしょうねえ?・・・もうちょっと敵に攻撃されないような防衛策をきっちりととって、軍人さんの命を大切にしてあげないとダメだな・・・と、なんだかいたたまれない気持ちです。
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プロフィール

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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