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ムバラクのテレビ出演とエジプトの未来

エジプトの刑事裁判所は昨日11月29日、ムバラク元大統領に対する公訴を棄却し、同氏は事実上無罪となりました。

起訴棄却の決定が下された時、私はちょうど外でとある行列に並んでいた(汗)のですが、周囲のエジプト人たちは口々に「ムバラクおめでとう!」なんて言って、盛り上がっていました。

ムバラクはいろいろな罪に問われていたのですが、昨日の裁判は「2011年1月の反政府デモに参加していたデモ隊を殺害するよう扇動したかどうか」という嫌疑についてのもので、起訴手続きが不備なので公訴自体棄却という、なんともまあ、グレーで政治的な判断が下されました。

昨日早速テレビに電話で生出演したムバラクがこちら。



アンカーのアフマド・ムーサーが「おめでとうございます!」と言ったのに対して、

ムバラク 「神のおかげだよ、ありがとう!」

アフマド・ムーサー 「とにもかくにも、お元気なんですか?」

ムバラク 「ああ、元気だよ、神のおかげでね。感謝の気持ちでいっぱいだ!」

といったやり取りの後、

「神を信じていたし、自分の無罪を信じていた」、「最初の判決を聞いたときは笑ったよ、昨日の判決こそ、私が待ち望んでいたものだった」などと話していました。

一時期はもうすぐ死ぬんじゃないか、という報道がさかんにされていたほど衰弱していたはずのムバラクですが、声を聞く限りはかなり元気そうです。本人も元気だ、と言ってますし。

ワタン紙によると、ムバラクは拘束されてから昨日の無罪判決まで1325日間ムショ暮らしを強いられ、主な嫌疑は2011年1月25日革命時デモ隊225人の殺害に関与したこと、2013年1月にすべての裁判についてやり直し命令が下され、やり直し裁判だけでも55回の公判が開かれ、昨日ついに公訴棄却の決定が下された、とのことです。

昨夜はムバラク無罪に抗議し、民主化勢力というか、いわゆる若者勢力がタハリール広場に集結し、「軍政を打倒せよ!」とか、「シシ政権を打倒せよ!」と叫び、警官隊と衝突して死者も二人でました。

これまでの様々なデモと比べるともりあがりに欠けるデモでしたが、民主化勢力のやるせなさは、ここ数年のエジプトを振り返ってみるとよくよくわかります。

2011年1月:1月25日革命、2月にムバラク政権崩壊
→民主化勢力の勝利か?!と思いきや。。。

2012年1月:議会選挙でムスリム同胞団の政党「自由公正党」が第1党に
→自由になって民主的に選出されたのは宗教勢力でした。。。ということで民主化勢力完敗。

2012年6月:大統領選挙でムスリム同胞団のモルシが大統領に選出
→同胞団が晴れて天下をとり、やりたい放題の同胞団政治を展開、刑務所にいたイスラム過激派たちを大量に釈放したり、全国の知事やモスクのイマームを同胞団員にすげかえてみたり。。。
エジプト中に同胞団嫌いの空気が徐々に満ちてきて。。。

2013年6月:6月30日革命でモルシ大統領失脚
エジプト国民が自分たちで民主的に選挙で選んだモルシを、デモにより力づくで引きずり下ろす
→同胞団政権失脚、幹部は全員逮捕(まだ逃げている幹部もいる)

2014年6月:大統領選挙で元陸軍元帥かつ国防大臣のシシが当選
→議会不在のまま、シシの「独裁」継続中

この流れからすると、エジプト当局的にはムバラクに無罪判決を下すのは自然で当然のなりゆきだと言えます。

今さらムバラクを断罪しようって人たちは、1月25日革命で熱くなり、選挙で力を得ることのできなかった不満を抱えた民主化勢力/若者勢力くらいしかいません。

なんで民主化勢力とやらが、自由になったエジプト国内で政治力を得られなかった(得られない)のか、理由はたくさんありますが、今後も彼らが批判するところの「シシ大統領による軍政」がしばらくは継続されることでしょう。

ここ数年を振り返るだに、エジプトっていうのは本当にしっちゃかめっちゃかな国なのですが、エジプトにはエジプトの民主主義があり、エジプトの自由があるってことなんだと思います。

エジプトの民主主義は欧米スタンダードのそれとは大いに異なりますが、それはエジプト人が規定すればよいのです。だって、民主主義という概念自体は多くのエジプト人が気に入っているわけで、それすら捨ててしまったら、向かうべき道は「イスラム国」しかないのですから。
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プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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