--

--

コメント

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
管理者にだけ表示を許可する

この記事のトラックバックURL

http://nouranoiitaihoudai.blog.fc2.com/tb.php/31-13169c24

11

26

コメント

エジプトのスーフィーと聖者廟破壊

エジプトでまた、聖者廟が破壊されたようです。今回は、ミニヤー県にあるディヤーナトゥルワクフديانة الوقفという村のシャイフ・バッカールの廟ضريح الشيخ بكارです。

いわゆる「アラブの春」のおこった国々では、サラフィーたちが力を誇示するかのようにあちこちの聖者廟を破壊しまくっているのですが、エジプトもまた例外ではありません。

ここでいう聖者というのは、イスラム世界の聖者のことで、もともと預言者ムハンマドの血筋を引いていたり、学識が高かったり、敬虔であったり・・・で知られる人が、死後(まれに生前のこともありますが)、神との仲介役を果たしてくれる聖者として、人々の信仰を集めるようになった、そういう人のことを言います。わかりやすい現象としては、その人のお墓(廟ですね)にお参りして、「病気が治りますように」とか、「試験に受かりますように」と祈願するとか、そういったものがあります。

カイロでも大人気の廟のひとつはサイイダ・ザイナブ廟です。女性用と男性用の参詣場所が分かれていて、私は女性用の方しか行かれないのですが、そこは常にザイナブさんに祈願をする女性達で大入り満員状態で、祈り終わったら早く出て行け、と催促されるほどです。

サイイダ・ザイナブというのは、預言者ムハンマドの娘ファーティマと娘婿にして従弟であるアリーの娘(つまりムハンマドの孫)で、ハサンやフサインの妹なのですが、フサインとともにカルバラーの戦いに巻き込まれてしばらくダマスカスに幽閉され、解放された後、メディナで没したとする説と、カイロで没したとする説があるらしく、カイロの廟は後者の説を裏打ちするもののようです。

まあ、つまりサイイダ・ザイナブというのは、預言者ムハンマドに極めて近い女性として、聖者としての人気を博しているわけです。

サイイダ・ザイナブは写真を撮れない雰囲気なので、あまり人気のない聖者廟の写真をかわりに掲載しておきます。

これはシャーフィイー廟です。

IMG_2659.jpg

シャーフィイーというのは四大法学派のひとつシャーフィイー派の名祖であり、イスラム法源論の原則を提唱した超重要法学者です。

それでも、私が行ったときには人が全然いなかったので、聖者としては全然人気がなさそうなのですが、近づいてみると、こんなものが見えます。

IMG_2653.jpg

これは、参詣者が隙間から入れこんだ紙の数々で、この紙に、「良縁にめぐまれますように」とか、「お母さんの病気が治りますように」とか、祈願の内容が書いてある訳です。

長々と説明しましたが、一神教のイスラムにも、聖者崇拝という伝統は存在していて、それは議論の末に、一応一神教とは矛盾しないとされてきたのですが、サラフィーたちにとってこれは許されざる多神崇拝の罪の象徴に他なりません。

それでチュニジア、リビア、エジプトのサラフィーたちは、せっせとこうした廟を破壊してまわっているのです。そういえば、世界遺産にもなっていたマリのトンブクトゥーの廟が破壊されたことは、大きなニュースになっていたように記憶しています。

エジプトのファトワー発行館(いろんな問題に対するイスラム法的解釈を発行するところ)は、たとえば今年の8月にリビアのズリテンにあるアブドゥッサラーム・アルアスマル師とアフマド・ザッルーク師の廟が破壊されたとき、「こういう廟を破壊する者は、地獄の犬どもだ!!」というファトワーを発行しましたが、サラフィーたちはこんなファトワーなんぞどこふく風〜です。

イスラムにも信仰をめぐっていろいろな考え方があるのですが、廟を毛嫌いするのがサラフィーなら、廟を非常に大切にするのがスーフィーです。エジプトにスーフィーがどれくらいいるのか、よくわからないのですが、選挙の票読みをする際には、だいたいエジプトの国民の1割はスーフィーだから、この人たちはサラフィー政党には入れないよねーなんて言われていました。

今回のシャイフ・バッカール廟の破壊をめぐっては、リファーイー教団団長のターリク・アッリファーイー師طارق الرفاعىが次のように述べています。

「こうした廟の破壊の責任は全部、カンディール内閣にある。我々は早急に廟の再建を行うため、ミニヤー県知事と治安当局の仲介を要請する。サイード(上エジプト)で多発しているこうした廟の破壊は、スーフィーたちの怒りを増幅させ、新たな革命をも引き起こしかねない。」

また、シャブラーウィー教団のアブドゥルハーリク・アッシャブラーウィー師 الشيخ عبدالخالق الشبراوىも、こうした廟の破壊は治安当局の怠慢にあるとし、明日予定されているムルスィーの新憲法宣言撤回を求めるデモにスーフィーたちが参加する旨を明らかにしています。

スーフィーは目立った政治活動をしていないのでサラフィーのように注目されることはありませんが、エジプトには軽視できないくらいの数のスーフィーが確かに存在しています。

いろんな考え方があって、イスラムだよね、という、そういったかたちのイスラム信仰であってほしい・・・と異教徒の私はついつい願ってしまいます。
スポンサーサイト
管理者にだけ表示を許可する

この記事のトラックバックURL

http://nouranoiitaihoudai.blog.fc2.com/tb.php/31-13169c24

プロフィール

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
海外情報
355位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
中東
10位
アクセスランキングを見る>>

ブログランキング

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

Designed by

Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。