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エジプト新憲法案への賛否と第三局

エジプトの新憲法案が先日、憲法起草委員会で可決・採択され、12月15日にその是非に関する国民投票が実施されることになりました。

この新憲法案、全文はこちらに掲載されています。

本来100人いた憲法起草委員会にはもともと、いわゆる世俗派やキリスト教徒などいろいろな人が含まれていたのですが、彼ら15人が辞めてしまった結果、残りの85人の構成は以下のようになっています。

自由公正党(ムスリム同胞団の政党) 22人
ヌール党(サラフィー政党) 18人
その他イスラム主義勢力 9人
その他の政党 8人
アズハル 3人
国の諸機関 11人
独立した個人 14人

このようにイスラム主義勢力が多数を占めているので、同憲法案に対してのエジプト国民のリアクションについては基本的に

イスラム主義勢力→賛成
世俗派・革命勢力→反対

という構図が出来上がっています。イスラム主義勢力は同胞団が宗教団体の動員パワーをフル活用し、昨日は20万人規模の「ムルスィー大統領支持集会」を開催、対する世俗派・革命勢力はタハリールでグテグテな感じの座り込みを継続しています。

ただ、これはあくまでも基本的構図で、ここには「第三極」(日本の政治ニュースワードを借用・笑)と呼ぶべき勢力も出現しています。その代表例がジハード系サラフィー主義者たちであり、彼ら(の一部)は昨日、「タウヒードとジハードの若者運動」という組織を設立し、ムルスィーの決定と同憲法案に反対する旨を表明しました。

彼ら曰く、

「我々の法学者が下したファトワーによると、シャリーア以外に則って統治を行う者はカーフィル(不信仰者)であり、このことはムルスィーに適用される」

のであり、

「イスラム教徒は、憲法などというものに従って統治をすることを許されていないのであり、我々は神の書(コーラン)と神の使徒および彼の代理人たちのスンナ以外に、憲法などというものは認めない」

のだそうです。昨日イスラム主義者たちによって開かれたムルスィー&憲法草案支持集会がシャリーア適用をうたっていることについても、「憲法草案のどこにもシャリーアなんてないじゃないか」と批判し、参加したイスラム主義者たち(同胞団とサラフィー政党主体)をバカにしています。

マンスーラにあるアカデミーヤ・サラフィーヤのリーダー、アフマド・アルナキーブ師は、昨日マンスーラのイバードッラフマーン・モスクにおいて、こんなことを言ったそうです。

「この憲法は正しくないし、無益であって、空虚な言葉の羅列にすぎない。これはエジプト史上最悪のものであり、我々はこれを完全に拒否する。そこにはシャリーアへの違反が14カ所ある。」

ムルスィーはエジプト人の総意で選んだ大統領です。みんなが生み出した「独裁者」です。ある意味、ヒトラーみたいなものです。オレは投票しなかった、という弁は、民主主義のルール下では通用しません。だから私個人としては、ムルスィーを否定して民主主義を称揚する世俗派よりも、民主主義自体を否定するジハード系サラフィー主義者の主張の方が理にかなっていると思ってしまいます。もちろん、理にかなっているということと正義であるということは、全くイコールではないのですが・・・。

今後の情勢としてはおそらく、このまま世俗派のデモがよりグテグテになり、15日に国民投票が行われて憲法案が可決され、その後人民議会選挙が行われるだろうと予測されます。

ムルスィーは先日、いみじくも「エジプト国民の90%は私の決定を支持している」と述べていましたが、これはまんざら嘘でもないように思います。なぜならおそらくエジプト国民の90%くらいは、政治の細かな動向などには無関心で、デモなどには参加せず、日々の仕事に追われながら、ただただ強い大統領のリーダーシップと国の繁栄を望む素朴な人々だからです。

エジプトという国で初めてみんなで民主的に選んだ大統領が一体どこまで出来るのか、壮大な実験はまだまだ続きます。
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プロフィール

 飯山陽

Author: 飯山陽
イスラム思想研究者。専門はイスラム法。都内の大学でイスラム思想を教えていましたが、現在はエジプトのカイロ在住、メディアの仕事をしています。
イスラム国に関しては別ブログ「どこまでもイスラム国」をご覧ください。

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